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建通新聞社(中部)
2012/05/17

【愛知】東海農政局 行動重点項目案に防災対策など

 農林水産省東海農政局は、大規模地震などへの防災対策を盛り込んだ2012年度行動重点項目(案)をまとめた。東日本大震災の発生を受けて「大規模地震などへの防災対策」を項目に設定した。建設業関連では、「農林漁業と農山漁村の6次産業化」の中で再生可能エネルギーの導入を推進するほか、「優良農地の確保と基盤整備」に引き続き取り組むとした。
 地震対策では、国営造成施設やため池などの農業水利施設を対象に耐震化を推進する。また、同局が進めている広域基盤整備計画調査などの中で、各施設の最適整備計画を策定するとした。
 主要な耐震化事業としては、愛知県三河地域で国営総合農地防災事業(仮称)矢作川総合第二期地区を計画しており、12年度は全体の実施設計に着手する。整備内容は、明治用水頭首工の基礎補強や、15・4`にわたる用水路の耐震改修など。
 岐阜県南部の西濃用水第二期事業では、岡島頭首工の整備に着手する。12年度分の整備内容は、堰柱の補強と中央魚道の補修など。
 農業用ため池などの防災・減災対策としては、震災対策農業水利施設整備事業を計画。同局管内にある受益面積2f以上のため池は、約4000カ所のうち7割が江戸時代以前に築造されており、老朽化が進んでいる。このため、被災時に影響の大きい池を対象に、耐震性の点検・調査、盛土による堤体の補強を実施する予定。
 広域基盤整備計画調査では、耐震改修を含めた長寿命化対策を検討する。当面は三重県津市をはじめとした伊勢平野を対象に、13年度まで調査を進め、その後に最適整備計画を策定するとしている。
 再生可能エネルギーの推進に際して同局は、農山漁業者の参画を推進するため、発電事業のモデル構築と施設導入支援を行う。対象となるのは、太陽光や風力のほか、水利施設を活用した小規模水力発電や、地域の産物を生かしたバイオマス発電など。さらに、12年度は西濃用水と羽布ダムで小水力発電施設の導入可能性を調査する。経済性などが認められれば、13年度以降、積極的に事業化するとしている。
 基盤整備では、一部防災対策とも重なるが、インフラの長寿命化に取り組む。主な事業は、基幹水利施設の機能診断と機能保全計画の策定。12年度は、西濃用水地区、矢作川総合地区、新矢作川用水地区を対象に機能診断を実施する。
 さらに、土地改良施設でも長寿命化を進めるため、土地改良区の統合を推進。農地・水保全管理支払交付金により、水路や農道の保全活動を促進するとした。