北海道建設新聞社
2012/05/08
【北海道】サロマ湖で堆砂除去作業はじまる−湖口ふさがり海水交換できず
サロマ湖漁港第2湖口に堆積した砂の除去作業が始まった。砂でせき止められた海と湖を通水させるため、応急的に常呂側の岸に寄せた5万2000dの砂を7月までに取り除き、漁船の航路を確保する。観光名所で海産物の宝庫でもあるサロマ湖を守るための取り組みが動きだした。
1月、オホーツク海から流れ込んだ砂が長さ400m、幅50mの湖口に堆積し、海水交換や漁船の通行が不可能になった。網走建管によると、湖口が砂で閉塞(へいそく)したのは、1980年に湖口を開削して以来初めてという。
湖口に砂がたまった状態のままだと、海水不足により湖内の塩分濃度が低下し、湖口周辺で養殖しているホタテやカキなどの生育に悪影響を及ぼす。加えて漁船が海に出られないため、5月中旬から始まる養殖に必要な稚貝まきの作業ができず、漁業関係者は困窮している。
早急な湖口の回復を図るため、漁港を管理する網走建管は2月、応急作業を西村組(本社・湧別)に依頼。3月末に幅10mの通水構を復旧した。
航路を確保するための本格的な作業は、西村・早水・五十嵐共同体が受注。作業初日の4月24日は、湖口に堆積した砂の上で、バックホー5台とブルドーザ1台で砂を掘り出した後、大型ダンプトラックで搬出した。
陸上から砂を掘削する作業は5月上旬まで。5月中旬からは、浚渫船を用いて湖口内の深い部分を掘削する。完了は9月中旬ごろを予定。網走建管では「砂の除去作業は、観光のハイシーズンとなる7月までに完了したい」と意欲を見せている。
復旧期間は、サロマ湖観光の目玉の一つである、ワッカ原生花園を巡る周回道路を工事用車両の往来に使用するため、観光客の出入りが限られる。
サロマ湖の片隅で、わずかにつながっていた海と湖が元に戻るまで、気の抜けない作業が続く。