建通新聞社四国
2012/04/27
【愛媛】設計を本年度 道後温泉本館大規模修理
松山市は、観光・文化遺産として道後温泉本館を保存するため、大規模修理に向けた設計業務を本年度委託する。本館は1894年に建設され2014年には120年を迎える。94年には建築物としての優秀さと保存状態のよさから国の重要文化財に指定された。
本館は木造(瓦一部銅板葺き)3階建て延べ1605平方b。1階部分は男女別の浴場で銭湯感覚で味わう「神の湯」とプライベート感覚でくつろぐ「霊(たま)の湯」の2種類の浴室、ほかに脱衣室などで885平方b。2階は休憩用として55畳の大広間(神の湯)と少人数でくつろげる25畳の広間(霊の湯)、国内で唯一の皇室専用浴室「又新殿(ゆうしんでん)」などで530平方b。3階は霊の湯の個室8部屋と夏目漱石ゆかりの部屋として「坊っちゃんの間」などで209平方b。さらに屋上部分には本館のシンボルとして「振鷺閣(しんろかく)」と呼ばれる太鼓楼が設置されている。
本館はこれまで修繕・修理を行ってきたが老朽化による耐震補強のため、市では大規模な修理が必要と判断。02年から05年度にかけ検討委員会で修復計画を策定した。実施設計は6月以降に委託する見通しで、年度内に仕上げる。工事は施設が国の重要文化財でもあるため、外観や施設内容は変えずに補強・補修する予定で、観光面からも運営しながら約11年かけて工事を進める。
また工事に伴って発生が予想される観光面や地域経済に及ぼす影響を検証し、総合的な対策を講ずるため道後温泉活性化計画の審議会を立ち上げる。市では当初予算に施設整備事業として5331万円、活性化策定事業に654万円を計上している。