建通新聞社
2012/04/20
【大阪】夢のシステム残骸撤去 大阪府 りんくうタウンの共同溝 旧廃棄物輸送管(約5km)の撤去 本年度から
大阪府は、りんくうタウンの共同溝に設置されている旧廃棄物輸送管の撤去を開始する。5月中旬に設計を開始し、9月28日までの納期で作成。2012年度末までに第1期の工事を発注する予定だ。旧輸送管の撤去は約5kmにわたり、工事期間は複数年にわたる。
泉佐野市などのりんくうタウンでは、造成時に都市景観の向上と空間の有効利用を目的に大規模な共同溝が建設された。電気、ガス、上下水道、電話線などの都市インフラを収容している。同時に最先端のごみ処理システムとして廃棄物輸送管も設置されたが、稼働から6年経過した2002年に廃止。廃止後も現況のまま残っている状況。
今回の工事は、約5kmの旧輸送管を複数年の長期で撤去しようというもの。設計では、全体の撤去方法の検討やスケジュール、関係者との協議を行う。また、共同溝に接続する専用ボックスも必要なくなっているため、取り出してその跡を埋め戻す閉塞工事を行う予定。設計には、閉塞の方法や工程検討も含む。
府は、2012年度当初予算に、第1期分の予算として、債務負担行為(限度額9,585万円)を計上している。今後も撤去の進捗に合わせて、工事費を予算化していく方針だ。
地下に張り巡らせた輸送管でごみを収集する「管路収集」は、ごみ袋や収集車のいらない「夢のシステム」として、大規模ニュータウンなどに巨費を投じて導入されたが、ごみの減量化や分別収集の実施により使われなくなっている。
東京都の多摩ニュータウンなど、巨大都市開発地区で廃止や、廃止検討が相次いでいる。しかし、施設の撤去には多額の費用が掛かり自治体の負担が大きく、実施が遅れるケースが目立つ。地下の廃虚として社会問題化する可能性がある。