静岡県の内陸部を“フロンティア”として利活用するため何をすべきか―。県と県内市町で構成する「内陸のフロンティアを拓(ひら)く県と市町の企画政策会議」の第1回本部員会議が17日、県庁内で開かれ、具体的な取り組みの内容や県・市町の役割、今後のスケジュールなどを協議した。県内を1区域とした総合特区の指定申請も視野に、9月中に施策の内容を全体構想としてまとめる。
冒頭、県の森山誠二理事が「新東名の開通に続き、伊豆縦貫自動車道や中部横断自動車道、三遠南信自動車道、リニア中央新幹線などの整備が着々と進められる。これに合わせ、沿岸地域の安全の確保や中山間地域の振興を進めることが重要」と述べ、県と市町が連携して関連するインフラ整備や産業集積、土地利用転換などを展開する必要があると訴えた。
内陸のフロンティアを拓く取り組みの基本方針は、「安全・安心で、魅力ある県土“ふじのくに”の実現」。これを実現するため、@防災・減災機能の強化A内陸部のイノベーションB都市部のリノベーションC多層的な地域連携軸の形成―を基本戦略に位置付ける。
防災・減災では、沿岸部の工場などの高台移転の受け皿づくりや、太陽光発電をはじめとした分散型エネルギーの活用、工場跡地の農水産業への活用、災害代替機能を果たす広域物流システムの構築などを進める。
内陸部のイノベーションの推進として、有効な土地の利活用を促すための土地利用調整や、自然と共生した家・庭一体の住まいづくり、拠点医療施設を核とする地域の医療機関のネットワーク構築、新東名サービスエリアなどを活用した緊急物資供給体制の確保などに取り組む。
都市部のリノベーションでは、里山の再生・復活による緑地空間の確保や、沿岸部の避難地や嵩上げ住宅用地の整備促進、沿岸部から高台への移転による津波被害の軽減などを具体策に掲げる。
これらの施策を県が全体構想として策定。これを踏まえ、市町がそれぞれの地域づくり構想の策定を進める。並行して、さまざまな規制緩和や財政支援を求める国の総合特区制度の活用や、国に対する特別措置法の提案などを検討していく方針。
(2012/4/20)
建通新聞社 静岡支社