建通新聞社(中部)
2012/04/11
【愛知】中部地方整備局 総合評価で改善案 工事内容に応じて評価形式選択
国土交通省中部地方整備局は9日の総合評価審査委員会で、2012年度の工事の総合評価方式と業務発注の実施方針を示した。全ての工事発注で総合評価方式を原則とするほか、工事内容に応じて評価形式を選び、透明性を確保する。また優良企業を育成するため、評価と配点方法を適切に運用する。業務でも総合評価落札方式の透明性確保に取り組むほか、特性に合った調達方式を選択、調査・設計の品質確保するとともに企業の技術力を適切に評価する。
同委員会のうち道路・河川工事などを管轄する第一部会では、経常JVの入札参加要件の緩和や、総合評価落札方式の運用ガイドラインの改定案を提示。技術力を適切に反映できるように、配点と評価方法を見直した。
技術提案は、簡易型でも3〜5項目の施工計画を求め、項目ごとに○×で評価、○の数によって差別化する。建設ICTの活用を提案した際の評価点を現行の3点から4点に引き上げる。また舗装工事以外でも担当技術者の資格を評価し、工事での役職経験によりさらに加点する。CPDの評価対象期間は前年度の1年間に限定する。ボランティア活動の評価は、内容と対象地域の評価を厳格化する方針。
総合評価落札方式の改善案では、本省案に沿って落札方式を「施工能力評価型(仮称)」と「技術提案評価型(仮称)」に二極化する案を提示。次回の審査会でより具体的な事務局案を示し、できるだけ早期に試行段階に移行する見通しだ。
二極化する新方式は、施工能力評価型に工事規模によって施工計画の提案を求める「T型」と、企業・技術者の能力のみで評価する「U型」を設定。一方、技術提案評価型は、施工上の工夫などの提案を求める「S型」、部分的な設計変更や高度な施工技術の提案を求める「AV型」、施工方法に加え工事目的物そのもの提案を求める「AT型」と「AU型」に分ける。
技術評価点の加算項目は、@技術提案A企業の能力などB技術者の能力など−の3点とし、このうちAとBの配点割合は同じとする。また地域精通度・貢献度などはAの中で評価し、配点は10点を上限とする。
企業と技術者の能力などは、施工実績、工事成績、表彰を必須項目として評価し、必要に応じてそのほかの項目を設定。地域精通度と貢献度は、災害協定の有無や近隣地域での施工実績など社会資本整備・管理に関係する項目について必要に応じて設定し、それらに直接的に関係しない項目は設定しない。
業務発注のガイドラインは、表彰実績の適用を拡大し、全国レベルの公的機関の中部支部などでの受賞・表彰実績も評価する。
港湾関連工事を管轄する第二部会では、総合評価の評価基準などを見直した。新しい基準では、企業の施工能力を、中部地整管内の施工実績と、ほかの地整などでの施工実績を同等に評価する。また優良工事表彰に関して、中部地整局長表彰と事務所長表彰を分けて評価する。技術者の能力は、監理(主任)技術者の経験と現場代理人の経験を同等に評価することにした。簡易型の評価方法も見直し、評価基準をより具体化することで評価の透明性を向上させる。
港湾空港関係の業務の総合評価落札方式には、新たに「履行確実性評価」を導入し、調査基準価格を下回る価格で入札した者に、内訳書などの追加資料の提出を求めるとともに、ヒアリングを実施して技術評価点を算出する。予定価格が1000万円を超える案件に適用することになる。