静岡県は、用排水路やダム、揚排水機場など基幹的農業水利施設の中長期管理計画(アセットマネジメント計画)の策定を開始する。耐用年数を超える施設が今後、急増していく中で、施設の重要度などを考慮しながら更新費用を低減・平準化することが狙い。これまでに進めてきた、更新が必要な施設ごとの機能保全計画(ストックマネジメント計画)を踏まえ、各施設の状況をデータベース化し、基幹的農業水利施設全体のアセットマネジメント計画を2012年度中にまとめる。同計画に基づき13年度以降、施設を管理・運営している土地改良区と協議しながら対策工事を進めていく。
県内には、大井川用水地区や牧之原地区、天竜川下流地区、三方原地区など、県や国が造成した規模の大きい農業用水が多い。このうち、基幹的農業水利施設(県や国が造成し、末端支配面積が20f以上)は、用排水路が延長約1292`(504カ所)、ダムや頭首工、揚排水機場などが475カ所ある。
歴史あるこれらの施設は老朽化が進んでおり、県が造成した施設では、11年度末で耐用年数が超過しているのが260カ所(全体の29%)、10年以内に耐用年数を超過する施設が198カ所(同22%)に達するという。耐用年数を超過する施設が急増する中で、将来の更新費用を確保することが大きな課題となってくる。
そこで、既に対策を始めている施設の長寿命化対策と更新整備を適切に組み合わせ、効率的・計画的に保全・更新を進めるためのアセットマネジメント計画を策定することにした。
県では07年度以降、緊急性の高い施設から、施設ごとに診断を行って最適な改修時期や工法を決めるストックマネジメント計画の策定を進めている。
これを踏まえ、各施設の機能低下の状況などをデータベース化。このデータを分析した上で、施設の規模や第三者への影響などを踏まえた重要度指標の設定や、事業費の将来予測シミュレーションを行い、基幹的農業水利施設の総合的な長寿命化対策として、アセットマネジメント計画をまとめる。
12年度予算に策定事業費900万円を計上しており、業務の委託方法などを今後詰める。
農業水利施設は土地改良区が管理・運営しているため、改良区と協議しながら、対策工事を順次実施していく。
(2012/4/4)
建通新聞社 静岡支社