建通新聞社四国
2012/04/03
【徳島】7月下旬までに整備方針 海部病院移転改築
南海地震などの大規模地震による津波対策で移転改築が計画されている県立海部病院で3月29日、同病院整備方針検討委員会(会長、影治照喜徳島大学地域脳神経学科診療部特任教授)の初会合が開かれ、今後のスケジュールや委員会における論点などを確認した。今後は6月上旬までの中間報告、パブリックコメントの実施を経て7月下旬までに整備方針をとりまとめ、今秋から着手予定の建築基本・実施設計に反映させていく考えだ。
同病院は、県南地域の急性期医療を担う中核病院であると同時に災害時の災害拠点病院となっているが、海岸からの距離が約500bと近く、また津波の遡上(そじょう)が予想される牟岐川に隣接していることなどから、病院機能を維持するために早急な津波対策が求められている。そこで県は、同病院の抜本的な津波対策として国の地域医療再生臨時特例交付金を活用して津波被害を受けない安全な高台への移転改築に取り組みことにした。
既存の病院施設は鉄筋コンクリート造4階建て(塔屋付)の本館棟と2階建ての別館、3階建ての厚生棟で構成し総延べ床面積は7586平方b。また、医師公舎などの建物は総延べ1202平方bとなっている。新病院は、現状の病院(内科・外科・脳神経外科・小児科・産婦人科・耳鼻いんこう科・放射線科、病床数110床)の機能の在り方について、圏域の人口の推移や高齢化なども考慮しながら委員会で議論した上で検討を進めることにしている。
委員会には、徳島大学病院をはじめ、海部郡内の公立病院、行政、地元医療ボランティアなどの関係者が出席。会合では、スケジュールとして、国の地域医療再生臨時特例交付金を活用することから、遅くとも2013年度末までの建築着工が大前提で、それまでに造成工事や建築設計などの準備作業を進める必要があることが示された。
また、建設地確保と造成を担当する海部町からは計画地として国道交通省が整備を進めている牟岐バイパス沿線の高台(同町杉谷地区)約1・5fを確保する方向で関係者と調整を進めていることが報告された。整備方針の策定に当たっては海部病院の在り方や基本方針について、委員から医療スタッフの確保を狙った魅力ある病院づくりや高齢化にも対応した診療、訪問医療などの充実、町立病院や民間医療機関との効率的な連携といった意見・要望が出された。
次回は4月25日に開催予定。事務局側から病床数などの案の提示など整備方針案の方向性(たたき台)を示すほか、担うべき主要機能を議論し、基本方針を整理することにしている。