建通新聞社(東京)
2012/03/29
【東京】 東京メトロ、設備投資に895億円余
東京メトロの2012年度事業計画によると、設備投資予算は前年度比1・9%増の895億0100万円となった。これまで耐震対策が不要と判定されていた高架橋柱約1200本の補強工事をスタートし、2年程度で約6割を完成させる方針だ。東西線南砂町駅の改良で土木工事に着手するほか、丸の内線方南町駅のホーム延伸なども行う。
12年度設備投資予算の内訳は▽安全対策=163億6000万円(前年度比50・8%減)▽輸送改善=107億8200万円(59・3%増)▽旅客サービス=393億1300万円(36・6%増)▽関連事業=112億4500万円(44・1%増)―などとなっている。
耐震対策が不要と判定されていた高架橋柱の補強は、東日本大震災によって仙台地区の鉄道施設の一部で運転再開に支障を来す損傷が発生したために実施する。
2年程度で約6割の補強を完了させる一方、残りの約4割は高架下に店舗などがあるため、テナントなどとの調整を経て補強を施す考えだ。
また、今後の大規模地震の発生などに備え、エレベーターのリスタート機能の整備計画を前倒ししたり、エリア地震計の数を33カ所から36カ所に増やすなどの取り組みも進める。
土木工事に着手する南砂町駅の大改良は、大規模掘削でホームと線路を増設し、中野方面の列車が増設したホームの両側で交互に発着できるようにするもの。事業費は約340億円。18年度以降の完成を目指している。
方南町駅のホーム延伸は、中野坂上駅の乗り換え混雑の緩和や輸送力増強が目的。6両編成(現在は3両編成)の運行に対応できるようにする格好で、エレベーターや多目的トイレなどを設置するバリアフリー対策も施すことにしている。
改良関係の工事はこのほか▽豊洲駅の大改良(有楽町線、事業費約100億円、13年度完成予定)=折り返し線の軌道、各種駅設備の改良▽門前仲町駅のホーム拡幅(東西線、13年度完成予定)=掘削など▽茅場町駅の改良(東西線、事業費約100億円、16年度完成予定)=埋設物の移設、掘削など―などで進める。
小竹向原〜千川駅間の連絡線設置(有楽町線・副都心線、事業費約200億円、12・14年度完成予定)については、シールドトンネル建設のための構築築造や既設構築撤去といった工事を予定している。
ホームドアは、銀座線での設置に向けて狭い駅のホームを補強するとともに、ホーム上の柱の移設などに関する調査を実施する。14年度以降に各駅で順次供用させる。有楽町線の設置は13年度の完成が目標で、12年度は和光市駅と銀座一丁目駅の2カ所が対象だ。