長崎市戸町・国分町の女神大橋を望む2万平方bの斜面地で、民間事業者が街そのものを作り出す計画を進めている。その名も「坂ん街プロジェクト」。事業者は西南興産梶i長崎市)主体のSPC。住宅96棟、ホテル1棟を一体的にデザイン・建設する一大プロジェクトだ。施工者は未定だが、秋口の着工を目指している。
現在、長崎市と一団地認定のための協議を行っている段階で、設計は世界で注目を浴びる若手建築家、谷尻誠氏が代表を務めるSUPPOSE DESIGN OFFICE(サポーズ・デザイン・オフィス、本社広島市)が、構造は北京オリンピックスタジアム「鳥の巣」を手掛けたALUP(アラップ、本社ロンドン)が担当している。
建設地は長崎市戸町、アプローズ長崎南下の斜面地。全体敷地2万2828・39平方bで、現状は草地となっている。今年秋口には1期工事として、住宅96棟(敷地1万3961・61平方b)、ホテル1棟(敷地4809・61平方b)建設に着手する計画。
土工事を極力抑え、斜面地に沿うように建築物を配置する。建築物全体に屋上緑化や水盤、スラブ、自然の風が煙突のように通り抜けるつくりとするなど、構造・デザインによる省エネも実現する。コミュニティーの在り方を提案するプロジェクトでもあり、集会所はカフェ形式にするなど、現代の長崎らしい街を作り出すことをコンセプトとしている。
ホテルは4層からなり、1層目がテナント、2層から4層が客室(客室数は30)。ホテルについては観光やビジネスで使えることはもちろん、メインは住民やその家族、友人のゲストハウスとして日常的に使用されるよう、西南興産鰍ニ専門事業者で運営する。
96棟の住宅については、環境配慮、地産地消の観点から全て木造(KES構法)とする計画だが、市は準耐火区域の同地において、一団地認定条件に耐火構造とすることを提示。西南興産蒲L田一郎常務取締役は取材に対し「国内への経済投資という意味でも、出来れば地域の木材を使いたい。しかし耐火構造が絶対条件となると、木造では非常に厳しい。方策を検討したい」と応えた。
※建設新聞予算特集(4月上旬発刊)に詳細を掲載いたします。