三重県は、2012年度の総合評価方式について、技術力の向上などの観点から、工事成績や手持ち工事量の評価の見直しや低入札対策の強化などを施行する。4月1日から適用する。
今回の評価項目の見直しでは、特に、工事成績と手持ち工事量の評価を現行の5段階評価から計算式(直線式)にすることで、実態に即した加点方法に変える。また低入札対策では、低入札契約工事を1件につき2件分とみなし、手持ち工事件数が加算されて評価点が下がる方式を取り、低入札契約が増えることでデメリットが高まる方式を導入する。県では地域の建設業の元気を回復させていくため11年度に「三重県建設産業活性化プラン」(12〜15年度)を策定し、技術力、地域貢献、経営力の3つをキーワードとして、県、建設業界が共同、またはそれぞれで行う取り組みをまとめており、今回の総合評価の見直しも同取り組みの中で12年度から実施する取り組みを具体化させたものが中心となっている。なお12年度に検討を行い13年度から実施する項目もあり、広い範囲での改善がこの4カ年で進められることになる。
見直しされた項目の内容は次の通り。
◇評価項目について
@工事成績の評価の見直し 企業の技術力向上に関する取り組みがより直接的に評価に反映できるよう、現行の段階評価(5段階評価)から計算式(直線式)による評価とする。例えば、最大加算点20点では、平均工事成績点が85点の場合、現行方式では段階式で「15点」で評価されるが、新方式では、計算式(簡易型で評価点が最大20点の場合)=(平均工事成績点―75点)×20/15で計算(小数点以下は切り捨て)すると、13・3となり「13点」の評価となる。一方、89点の場合、現行では「15点」だが、新方式では18・6で「18点」で評価される。なお、90点以上は評価20点、75点未満は評価0点は現行通り。
A手持ち工事量 企業の手持ち工事量をより適切に評価するため、現行の段階評価(5段階評価)から計算式(直線式)による評価とする。計算式(簡易型で評価点が最大10点の場合)=〔−12・5×手持ち工事量(J)〕+10。計算式のうち、「−12・5」は最大10点を0・8で除した数値で、「+10」は最大点数により変動する。手持ち工事量(J)は、「当該部門契約金額2500万円以上の公共工事件数/当該部門の1級技術者数」。例えば手持ち工事が4件、技術者数15人の場合、現行では、Jの値が0・26となり「7点」で評価されるが、新方式では6・66で「6点」の評価となる。
さらに、低入札対策の視点で、三重県発注の低入札(調査基準価格を下回る入札)契約工事については、件数を2件とみなして計算する。例えば3件の手持ち工事であれば、「7点」だが、このうち1件が低入札の場合、手持ち工事は4件で計算し「6点」の評価となる。なお、低入札契約工事については、12年4月1日以降に公告した工事を対象とする。
B配置予定技術者の工事実績
若手技術者育成の観点から、実績工事の主任技術者としての資格要件を満足した現場代理人の工事実績については、主任(監理)技術者の工事実績と同等に評価する。08年度から段階的に評価基準を上げてきたもので、現行では、例えば「評価対象工事の現場代理人として2回の実績」を主任(監理)技術者の実績と同等にしていたものを、回数の制限をはずし1回の実績でも同等の評価とした。
◇入札時における入札保留について
入札時に低入札者(調査基準価格を下回る入札者)が含まれる場合の入札保留については、低入札者が「施工体制審査意向確認書」を提出した場合に限って入札保留を行う。従来は1社でも低入札者があれば、保留としていたが、施工体制確認型を1年間施行した状況を踏まえて、事務処理の簡略化を図るため措置する。
◇ヒアリング時の説明資料の取り扱いについて
ヒアリング時の説明資料について、技術提案書以外の資料(提案様式「技術提案の記述内容を補足説明するための図・表・写真等」で使用された図面などの拡大版やヒアリング説明用に別途作成された資料)などの使用を認めない。評価の公正性・透明性確保の観点から措置する