経営事項審査(経審)の2012年度の改正で、社会保険の未加入企業に対する評価が厳格化され、社会保険加入義務のある者(社員)が1人でも未加入の場合は減点対象となり、減点幅が拡大する。14日に開かれる中央建設業審議会で、減点幅など基準の詳細が示される見通しだ。こうした動きを踏まえ、静岡県では、13・14年度の建設工事入札参加資格審査申請に先立ち、12年度、総合点数の減点や入札参加資格の制限など保険未加入業者への対応を検討していく考え。
建設産業戦略会議が「建設産業の再生と発展のための方策2011」で打ち出した、社会保険(雇用保険、健康保険、厚生年金保険)未加入対策の徹底に対応する措置。公共工事の入札参加の“入り口”となる経審で、未加入企業に対する評価を厳格化する。
12年度の改正で、「雇用保険加入の有無」と「健康保険および厚生年金保険加入の有無」について、加入義務のある者が全員加入している場合だけを「有」と認める。健康保険被保険者証と健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書で加入状況を確認し、1人でも未加入の者がいる場合は「無」として取り扱う。
現行の経審制度では、雇用保険と、健康保険・厚生年金保険に未加入の場合、それぞれ30点を減点しているが、今回の改正で減点幅を広げる。減点幅などの基準については、中央建設業審議会での審議を経て決定する。
社会保険未加入対策をめぐっては、国土交通省が5年後をめどに保険加入率を企業単位(建設業許可業者)で100%、個人単位で製造業並みに引き上げる目標を設定。同省の「社会保険未加入対策の具体化に関する検討会」が、指導・通報しても加入しない企業を営業停止など監督処分の対象とすることや、17年度以降は未加入事業者と契約せず、未加入の作業員の現場入場を認めない体制の構築を目指す考えを示している。
(2012/3/12)
建通新聞社 静岡支社