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北海道建設新聞社
2012/02/29

【北海道】広野組が玉川組の資本・業務提携で再建へ−不動産部門は分離 

 広野組(本社・旭川、中谷登社長)は、会社分割と玉川組(同・恵庭、玉川豊社長)との資本・業務提携で再建に乗り出す。4月1日付で建設と不動産の両事業を分割。現株主に加え、玉川グループが出資して14日に設立した新会社の「株式会社広野」が広野組の社名と建設事業を継承する。財務改善で課題になる不動産部門を現会社に残し、提携で営業力などの基盤強化を図る。中谷社長は続投する。
 27日に開いた臨時株主総会で決めた。建設投資の大幅な落ち込みなどを背景に事業環境が厳しさを増す中、ここ数年、広野組は経常利益を計上するものの、有利子負債が経営を圧迫。不動産売却の評価損などで純損失計上を余儀なくされていた。
 遊休不動産の売却で借入金を返済するなどして財務改善を模索してきたが、簿価と実勢価の差損が経審に悪影響することから、主要金融機関の了承を得て、玉川組の支援・提携を前提に建設と不動産事業を分割し、事業の立て直しを図ることにした。
 玉川組とは、広野組が2009年10月に吸収合併したグループ会社日東木材工業の建具事業で取引があるほか、2年前から人的交流もあり、11年12月末までに資本・業務提携の合意をしていた。
 広野組は4月1日付で、社名と建設事業全般を新会社に譲渡する。新会社の資本金は5000万円で、現会社の役員と株主、玉川グループの玉川商事らが出資。同グループから役員1人が参画する。旭川市4条通10丁目の本社、東京、札幌など全営業拠点、全社員71人は新会社に移行。建設業許可を含め、体制は現行を維持する。
 道北に拠点を置き、防衛関連をはじめ官民の建築、土木に歴史を持つ広野組と、道央で道路など土木中心に展開してきた玉川組の提携で、事業エリアや得意分野を補完。営業強化や技術者など人材交流による効率化を進め、「相乗効果で業績拡大につなげたい」(中谷社長)としている。
 広野組は建設事業の譲渡後、「株式会社H・Gプラニング」に社名変更し、新会社の社員が兼任して不動産管理事業に専念する。旭川や札幌、道外に保有する不動産賃料収入のほか、遊休不動産処分により、有利子負債の返済を進める。
 広野組は1919年創業の老舗ゼネコン。完成工事高は12年3月期で約37億円と、ピーク時の4分の1程度にとどまる見通しだ。玉川組は63年創業。12年5月期の完工高は土木、建築、舗装を中心に63億円を見込む。社員数は86人。