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北海道建設新聞社
2012/02/23

【北海道】札幌駅前通の地上歩行者が大幅減−地下空間流入で 

 札幌駅前通地下歩行空間の開通後、地上の歩行者数が大幅に減っていることが、札幌市商店街振興組合連合会が実施した都心商店街の通行量調査で明らかになった。地上の平日の年間通行量は60万人台で推移していたが、2011年は47万人程度となり、前年に比べて3割減少。特にJR札幌駅から大通公園までのエリアで減少が目立っている。札幌駅前通まちづくり株式会社では、地上にもにぎわいを持たせるためにはどのような対策が有効か、検討を重ねる方針だ。
 駅前商店街や一番街商店街、狸小路商店街といったJR札幌駅から薄野までの都心の地上部分と、地下街のオーロラタウン、ポールタウン、地下歩行空間など計97地点を対象に、9月の平日と10月の休日に1時間当たりの通行量を計測。それを基に年間通行量を推計した。
 地上と地下を合わせた11年の通行量は、平日が148万5879人、休日が139万7532人で、ともに前年の1割増しとなった。
 地下歩行空間の開通により、JR札幌駅から大通を経由し、薄野に至る地下のエリアが一直線で結ばれたことによるもの。地下だけで見ると、平日は48%増の101万8464人、休日は38.2%増の87万561人と大幅な伸びを示した。
 その反動で地上部の通行量は大幅に減少。平日が30.4%減の46万7415人、休日が10.9%減の52万6971人となり、順調に人波が増えた地下と明暗を分けた。
 地上の通行量は過去5年間、若干の増減はあったものの平日、休日を問わずほぼ60万人台で推移。天候不順が続き一時的に地下の通行量が増すことはあったが、今回のような落ち込みは例がない。
 特に、地下歩行空間の真上に当たる旧札幌西武跡地や札幌中央ビル、大同生命ビル、三菱UFJ信託銀行、札幌グランドホテル、日本生命札幌ビル周辺の調査地点では、いずれも前年の3分の1程度まで激減している。市商店街振興組合連合会では「1970年の調査開始から見ても極めて異例」と話す。
 これを受けて商店街関係者からは、地上部にも一定程度のにぎわいを戻すべきとの指摘が相次ぐ。
 地下歩行空間を管理する札幌駅前通まちづくり株式会社の越山元社長は、駅前通振興会や市と協力し、ソフト・ハード両面の対策を練る必要があると説明。「今後進むオフィスビル建て替えに際しては、施主にエスカレーターを設置するよう求め、地下と地上の連動性を高められるようにしたい」と述べ、常に一定のにぎわいを保つことができるような仕掛けづくりが必要だとしている。