北海道建設新聞社
2012/02/21
【北海道】エゾシカの食害防止へ平取町が総延長450kmのフェンス設置へ
平取町は、拡大するエゾシカの食害による農地被害を食い止めるため、2012年度から3カ年かけて、町内17地区に総延長450`の金網フェンスを整備する。総事業費は11億2500万円。毎年度3億7500万円を投じ、150`ずつ設置する計画で、12年度は8月にも着工し、4カ月程度の工期を想定している。
町内の鳥獣類による農業被害額は、07年度に7079万円だったのが、10年度は2億1048万円とおよそ3倍に急増。農業を主要産業とする町にとって悩みの種だ。
主に水稲が中心だが、牧草やデントコーン、野菜、ビート、小豆・大豆なども影響を受けている。被害額のうち約9割はエゾシカによるもの。農家の生産性向上のためにも、エゾシカ対策が急務となっている。
町はこれまで、鳥獣類の食害対策として農家個人が設置した防止柵に年間200万円を助成。被害額が拡大した10、11年度は予算を1000万円に増額した。
11年9月には、農水省の鳥獣被害防止総合対策交付金制度の受託を視野に入れ、町や平取町農協、沙流川森林組合、猟友会、農業委員会で、鳥獣被害防止対策協議会を設立。一丸となってエゾシカ対策を検討してきた。
新たに設置する金網フェンスは、エゾシカの侵入を防ぐことに的を絞った仕様。1スパン5mで、高さ3・2mの金属製ポールを基礎を設けず地中に1m突き刺し、地上部の高さを2m確保する。
財源の内訳は、交付金と町の支出で96%を占めるほか、農地所有者など受益者による負担も検討している。
事業主体は協議会となる予定。町産業課によると「金網フェンスの発注をどこで担当するのか、町内17地区のどこからフェンスを設置するのかは協議中」と話している。