静岡県は、「県建設産業ビジョン」に基づく方策として、過疎地域でビジネス経営体を対象とした入札を試行するとともに、異常気象時の待機費用負担の明確化や建設業者の合併時の総合点数の加算措置拡大に取り組む。今後、詳細を詰め、2012年度に運用を始める予定だ。2月16日に開いた県建設業審議会(会長・小川雄二郎富士常葉大学非常勤講師)のフォローアップの初会合の中で県側が明らかにした。
入札・契約制度では、工事と建設関連業務委託での総合評価入札の実施件数を拡大するとともに、ダンピング対策の強化として、工事での施工体制確認方総合評価の試行を継続し、建設関連業務(測量)での低入札調査基準価格を引き上げる。
また、受発注者間の対等性の確保に向け、設計変更を行う際のガイドラインを作成・試行するほか、大規模な道路補修工事などで異常気象時の建設業者の待機費用負担を明確化する。
さらに、地域で活躍する建設企業の評価で、災害協定に基づく活動実績を総合評価方式の評価項目に追加・拡充。現在20〜30者程度に設定している入札参加想定業者数の一層の緩和や、県内企業への下請け発注の努力義務化、合併時の(県の入札参加資格での)総合点数の加算措置の拡大、過疎地域でのビジネス経営体を対象とした入札の試行に取り組む方針。
ビジネス経営体向けの入札の試行では、伊豆半島南部や川根地区、浜松市北部など過疎地域での工事を、その地域に本社を置く建設業者に発注する考え。入札参加の要件として「総合点数715点程度」を現段階で想定していると説明した。
一方、建設産業の再生のための施策として、建設産業再生支援事業費800万円を12年度予算案に新規に計上。建設業の合併に向けた専門家の助言・指導や、新分野への進出のための販路開拓や人材養成に関する費用の一部を助成する。
ビジネス経営体は、今後生き残るべき建設業の概念としてビジョンに位置付けられたもの。経営戦略など企画業務部門を持つ法人で、県の入札参加資格審査認定時の総合点数が1000点程度(過疎地域は4割程度割り増し)の総合工事業を想定している。
(2012/2/17)
建通新聞社 静岡支社