静岡県は14日、2012年度の当初予算案を発表した。一般会計予算は前年度当初を0・2%下回る1兆1306億円となったものの、投資的経費は前年度当初比3・5%増の1714億7400万円を計上した。投資的経費が前年度を上回るのは16年ぶりで、地震・津波対策に重点を置く。
12年度予算案は、@雇用対策A少子化対策B地震・津波対策Cエネルギーの地産地消への取り組みD内陸フロンティアの魅力ある地域づくり―の五つの分野に重点化して編成。特別会計は前年度当初比13・0%増の4182億1400万円、企業会計は同11・6%減の562億7700万円で、3会計の総額は同2・5%増の1兆6050億9100万円。
雇用対策には前年度当初を13・4%上回る438億8926万円を計上した。建設業など地域基幹産業の活性化として、新たに住宅リフォーム支援事業(事業費3億0200万円)を創設、高齢者が暮らす住宅のリフォーム工事費の1割を補助することで、住宅市場の活性化を狙う。
このほか、新体育館や室内練習場の建設など草薙総合運動場のリニューアルに58億円、天竜地区新構想高校など県立高校の再編整備に36億3600万円を計上した。
少子化対策には同5・8%増の122億6015万円を投入。緊急子育て支援事業費助成として、民間保育所20カ所の整備に20億円、民間認定こども園2カ所の整備に2億4845万円、放課後児童クラブの施設整備を行う市町10カ所に1億3249万円を配分する。
地震・津波対策には同132・3%増の236億1354万円を計上。新たな被害想定に向けた対応として、県の第4次地震被害想定の策定費に9300万円、河川の津波遡上シミュレーション調査費に2億円などを盛り込んだ。交通基盤事業では、地震津波アクションプログラムに位置付けた防災減災事業(61億5600万円)や、既存橋梁の補強(5億6400万円)、県単独の砂防対策施設整備(14億6400万円)や治山対策施設整備(9億2000万円)を進める。
耐震化など建築物の安全確保対策は同4・5%増の53億6118万円を確保。プロジェクトTOUKAI―0総合支援事業費として、木造住宅などの耐震診断や耐震補強などに補助する市町への助成に7億7900万円を配分する。
エネルギーの地産地消への取り組みには、同446・6%増となる20億6573万円を計上。新規に事業所用太陽光発電設備導入に対する助成制度(100件、7000万円)を創設するほか、11年度に開始した住宅用太陽光発電設備導入助成に11億円、農業分野での太陽光発電設備導入モデル実証に800万円、奥野ダム小水力発電設備導入に1億0700万円、農業水利施設への小水力発電導入に向けた概略設計費1400万円を充てる。
内陸フロンティアの魅力ある地域づくりでは、同31・5%増の41億0200万円を投入。新東名高速道路インターチェンジ周辺での魅力ある地域づくりのモデル検討(1000万円)や市町による産業集積計画の策定支援(500万円)、市町による工業用地開発可能性基本調査の支援(1500万円)に新規に乗り出す。
(2012/2/15)
建通新聞社 静岡支社