福島建設工業新聞社
2012/02/08
【福島】防災緑地に新年度316億円計上/4市町で事業化
県土木部は、津波に対する多重防御対策の一つとして検討される「防災緑地」の整備を4市町で事業化するため、24年度当初予算案に事業費316億円を計上した。24年度は防災緑地整備に必要な都市計画決定手続きを進める一方、用地買収と調査設計を進める。
県事業による防災緑地整備が計画されているのは新地・埒浜地区海岸、相馬・相馬港背後地、広野、いわきの4市町。新地と相馬、広野は1カ所単位での事業実施だが、いわきは久之浜、四倉など複数個所で計画が上がっている。南相馬は農林水産部所管の海岸防災林での事業実施になる。
防災緑地については、国土交通省の「東日本大震災からの復興に係る公園緑地整備検討委員会」で、構造技術部分の検討が進められており、県も防災緑地の@配置方針A機能B構造C運営維持管理―などの考え方を示したガイドラインを、年度内策定を目指して検討している。
震災による被災自治体支援のため、国が創設した「復興交付金」の1次分で、津波被災4市町が出した事業計画にも防災緑地の整備が位置付けされたことから、新年度、土地取得に向けて動き出すことになった。
防災緑地は海岸堤防背後に盛土、植栽を施し、堤防と一体で津波防・減災機能を持たせるもので、設置場所によって堤防高までの盛土が必要になるケースも出てくる。津波シミュレーション等を通じ、各市町と協議しながら、個々の個所について緑地帯の幅や高さを固めていく。
防災緑地は、都市公園事業の緑地に位置付けられるため、県は24年度、都市計画決定手続きと合わせて用地の取得に入り、以降の工事実施に備える。年度内に出す予定のガイドラインを踏まえ、実施個所での測量調査と設計も行う。ガイドラインは農林水産部の防災林整備への活用も視野に置いている。県は、今年度を含め5年内に整備する考えでいる。