建通新聞社(神奈川)
2012/02/03
【神奈川】県中小融資 震災・円高対応が全体の65%超
神奈川県がまとめた中小企業制度融資の2011年度12月末時点の実績によると、東日本大震災後の経営安定を図るための資金である「震災復興融資」「景気対策特別融資」「激甚災害特別融資」に加え、昨年10月に創設した「円高対応特別融資」の四つの融資実績が、金額ベースで全体の65・7%に上り、引き続き高い割合を占めた。融資全体の件数・金額は減ったものの、円高対応特別融資は10年度に実施した同種の「業績回復融資(円高対応)」(実施期間10年10月5日〜11年3月31日)の同時期の実績と比べて件数ベースで約3・2倍、金額ベースでも約1・3倍となった。12月単月では景気対策特別融資、円高対応特別融資のニーズが特に高かった。
4〜12月の中小企業制度融資全体の実績は8998件、1581億7000万円。前年同月と比べて件数ベースで9・7%、金額ベースで10・7%減った。
このうち、四つの震災対応融資額の合計は、4084件、1038億9000万円(制度融資全体の65・7%)で、前年同期と比べて金額ベースで11・6%減少した。
「景気対策特別融資」の件数は2938件(11月末時点2577件)で、融資額合計は666億3000万円(同583億1000万円)。中小企業制度融資全体に占める割合は金額ベースで42・1%だった。同融資は、セーフティ別枠(国が指定する業種で、市町村の認定を受けた中小企業者・協同組合などの事業資金全般)と一般枠(最近の売上高などが減少している中小企業者ほかの事業資金全般)があり、震災の影響に限らず、売り上げが減少している中小企業が対象。
激甚災害特別融資は前月末時点と比べ1件増え6件となった。県内で震災の直接被害を受けた中小企業が対象。
5月補正予算で新設した「震災復興融資」は、2年以内〜10年以内の期間で、1・3%以内〜1・7%以内の最優遇金利を適用。ほかの融資とは別枠で、震災の直接被害や間接的被害を受けた企業が利用できる。12月末時点の実績は1079件(11月末時点1047件)、363億7000万円(同351億3500万円)で、中小企業制度融資全体に占める割合は金額ベースで23%だった。
「円高対応特別融資」の融資実績は、61件(11月末時点32件)、8憶5000万円(同4憶9808万円)。円高の影響を受けている中小企業の資金繰りを支援するのが目的。融資期間5年以内、最優遇金利1・5%以内で、10月14日〜2012年3月31日の期間限定(融資申し込み分)で創設した。