静岡県は2012年度、農業用水を活用した小水力発電の導入を促すため、大井川用水地区(島田市ほか)など県内9カ所で概略計画の策定(概略設計)に着手する考え。
小水力発電は近年、低落差・小水量でも可能な技術開発が進み、設置コストも安くなりつつある。県内には受益面積が100f以上の農業用水路が延長1117`(2007年度末現在)あり、ここを年間約27億dの水が流れている。そこで県は、農業用水を活用した小水力発電の導入を積極的に促すことで、施設の維持管理費を軽減するとともに、再生可能エネルギーの安定供給や新たな産業の創出を目指す方針を打ち出している。
県は09年度、県内27カ所の農業用水路を対象に導入可能性を調査した。その結果、用水の施設運営に必要な電力を賄いつつ売電する出力を得られる場所があることが分かった。これを踏まえ、全国土地改良事業団体連合会が10年度に有東木地区(静岡市葵区)と大井川右岸伊達方地区(掛川市)で概略設計をまとめたほか、県が11年度に三方原用水地区(浜松市北区)で概略設計を進めている。
12年度は、先導的な導入事例の拡大に向け、県が国庫補助(補助率100%)を活用して、新たに大井川用水地区(島田市)や大井川右岸用水地区(掛川市)など9カ所で概略設計を開始する。それぞれの用水路ごとに、電力需給計画や概算事業費、発電形式の検討などを行い、事業化の可否を判断する際の基礎資料とする。
また、10年度に概略設計(概略計画)をまとめた伊達方地区で、事業化に向けた基本計画を策定する方針。
(2012/2/1)
建通新聞社 静岡支社