建通新聞社(神奈川)
2012/01/30
【神奈川】県庁庁舎 整備手法・スケジュールを検討へ
神奈川県は、東日本大震災で外壁タイルの落下などの被害を受けた県庁庁舎の被害状況と現況調査の中間報告をまとめた。損傷箇所については補修工事を完了し、「ほぼ従前の耐震性を保っている」としながらも、新庁舎と分庁舎の外壁などについては「早期の対策が必要」だとした。3月に最終報告をまとめ、その後、整備手法やスケジュールの検討を進める。2012年度の具体的な予算措置や整備手法などの検討体制について県は、「現在調整中であり、具体的には固まっていない」としている。
東日本大震災によって、主に@新庁舎西側の外壁タイルの落下、西側階段の一部損傷A新庁舎・第2分庁舎をつなぐ跨道橋(こどうきょう)接合部のひび割れB第2分庁舎のコンピューターセンターの免震床の破損―などが生じた。
損傷箇所については既に補修工事を完了。併せて、建物の外部・内部・構造の現況調査(2011年5月〜12年3月)を実施し、その中で被害状況に応じた補修工事の実施や、抜本的な改修方法などの検討を進めている。
中間報告では、「各庁舎とも経年劣化、あるいは地震によるひび割れが見られるが、新庁舎は西側階段周りの補修、そのほかの庁舎は現状でほぼ従前の耐震性を保っている」と分析。一方で、新庁舎と分庁舎の外壁などは早期の対策が必要だとした。
今後の対応については、「大規模地震の切迫性や津波対策など、新たな課題と現況調査の結果を踏まえ、整備手法やスケジュールなどの検討を進めていく」としている。
10年3月、県議会総務政策常任委員会に提出した「県庁庁舎のあり方」(案)には、1955年築で、県庁庁舎の中で本庁舎に次いで古い「分庁舎」を建て替え、次に「新庁舎」を免震工法も視野に大規模改修し、安全性を向上させる、との整備の基本的な方向を示している。
分庁舎の規模は、鉄筋コンクリート造地下1階地上6階建て延べ5388平方b。新庁舎は鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階地上13階建て延べ3万7035平方bで、1966年に完成した。93年に完成した第二分庁舎は新耐震基準に基づいた建物。国の登録有形文化財である本庁舎は28年に完成。86年の耐震予備診断で安全性を確認した。
現況調査は坂倉建築研究所(東京都港区)が進めている。