静岡県は、施設の狭あい化などが課題になっている「伊豆医療福祉センター」を民営化し、民間活力を利用して施設の機能を充実するため、指定管理者である恩賜財団静岡県済生会(静岡市駿河区小鹿1ノ1ノ1)に施設を有償譲渡する方針を固めた。済生会が2012年度、入所棟の増築と既存施設の改修に着手する。
伊豆医療福祉センターは、肢体不自由児施設として県が1965年に設置。その後、重症心身障害児(者)の療育訓練や生活援助のほか、通園保育や短期入所、療育相談、障害児(者)の外来診療など、障害のある人の地域での総合的な療育を目的に、93年に施設を全面改築した。
現在の施設の規模は鉄筋コンクリート造1階一部2階建て延べ3070平方b。定員は入所が43人、通所が5人となっているが、施設が狭く、実際には入所利用が30人程度に限られ、通所利用も隔日でしか受け入れられないという。
県東部地区の重症心身障害児(者)施設の中核施設と位置付けているものの、酸素や吸引の配管の不備など設備が不十分で、人工呼吸器の利用者など重度の入所者に対応できない。また、設置当初から済生会が運営を担当しているが、運営方法の変更は県との協議が必要で柔軟な対応が難しい。
こうした課題に対応するため、利用者と済生会、県が協議。その結果、運営の自由度が増し、現場に即したサービスの提供が期待できるとして、済生会が主体となって機能を強化することが決まった。
現在の定員としている43人を受け入れられるよう、敷地内(8276平方b)に入所棟を増築するとともに、通所や重度の入所者に対応するため既存の施設・設備を改修する。
県は、現在の施設を有償で済生会に譲渡するため、県議会2月定例会に議案を上程。議会の承認後、3月末までに譲渡手続きを終える。並行して済生会が、入所棟の増築と既存施設の改修に向けた設計を進め、国に補助申請を行った上で、2012年度中に工事に着手する計画。
(2012/1/30)
建通新聞社 静岡支社