北海道建設新聞社
2012/01/26
【北海道】札幌・敷島ビルが3月から耐震改修へ−高まるニーズに対応
テナントビル経営の敷島屋(札幌市中央区北2条西3丁目1、中村達也社長)は3月、所有する敷島ビルの耐震改修に着手する。東日本大震災の発生もあり、急速に高まっている耐震化ニーズを踏まえて取り組む。今後、札幌市内都心部では老朽化したビルの改修などが本格化するとみられ、呼び水となるか注目される。設計は三菱地所設計、施工は清水建設にそれぞれ依頼した。
同社が本社を置く敷島ビルはL字形の形状で、西側は札幌駅前通、南側は北2条通に面する。RC造、地下2地上9階塔屋3階、延べ1万5590m²の規模で、1期部分は1971年1月、2期部分は72年12月に完成した。
同社では2004年に耐震診断を実施。早期の改修着手を検討していたが、テナントが満室で改修工事のスペースを確保できなかったり、地下歩行空間との接続などがあり、タイミングを計っていた。
耐震化は建物外部を強化し、テナントスペースの縮少など内部に極力影響が出ない形を取る。外部工事として、隣接するビルとの外壁部分で1―6階までRC壁を新設。内部では、1―7階の数カ所にRC壁や枠付き鉄骨ブレースを設置する。内部工事に伴い、縮少するスペースは全体の1%にも満たないという。
改修作業はテナントなどに配慮して夜間から朝方にかけて行い、8月末の完了を予定する。
震災が発生し、首都圏では巨大地震も懸念される中、同社では「企業がビルを探す際、現行の耐震基準を満たしていることが最低条件となる。本州の企業であれば、なおさら。先駆け的な取り組みになれば」と話している。