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建通新聞社(静岡)
2012/01/18

【静岡】静岡県議会・大規模地震対策特別委多重防災や土地規制を津波対策で県に提言へ

 静岡県議会の大規模地震対策特別委員会が16日に開かれ、「大規模地震発生時の津波対策と浜岡原発の安全対策の強化」の提言案を協議した。現在の県の第3次地震被害想定に基づく着実な取り組みを前提に、道路や鉄道、海岸防災林などの複数の社会資本を組み合わせて被害を軽減する多重防災の検討や、津波危険区域での土地利用規制と優遇措置など土地利用計画の総合的な見直しなどを県に求めることで一致した。今後、提言内容を詰め、県議会2月定例会で報告する。
 同委員会では、東日本大震災の津波被害を受け、県内の津波対策や浜岡原発の安全対策について協議してきた。提言は、@大規模地震による津波被害を想定した整備体制の強化A地震・津波発生時の避難体制の強化B学校施設での避難所の体制づくりC大規模地震に備えた耐震対策の推進や防災訓練などの見直しD浜岡原子力発電所の地震・津波に対する安全対策―の5項目で構成。
 津波被害を想定した整備体制の強化では、道路などの社会資本整備による多重防災と、土地利用計画での規制、津波対策への支援制度の整備を具体策として提示した。
 社会資本の整備については、大規模地震で想定される津波を防潮堤だけで防ぐことは難しいため、津波のエネルギーを分散させる仕組みや受け流す仕組み、道路・鉄道・海岸防災林などの複数の施設を複合的に組み合わせて被害を軽減する多重防災について検討すべきとした。また、東日本大震災で、盛土構造の海岸道路が防波堤として機能したことを考慮し、国道1号などを盛土して高架化することによる堤防効果の検討を求める。
 土地利用計画では、土地利用規制と合わせた社会資本整備による安全地域の拡充や、土地利用規制の対象者への優遇措置の検討が必要だと指摘。農地の転用なども含めた土地利用計画の総合的な見直しの検討を求める。
 さらに、津波対策の支援制度として、津波の被害想定エリアを限定し、個人住宅を高台に移転する場合の新たな支援制度の検討を求めることも盛り込む。
 ハード面ではこのほか、避難路などでの対策で、避難誘導標識や海抜表示などのユニバーサルデザインに配慮した整備を要望。避難経路上のブロック塀の撤去や建物の耐震化を、緊急避難施設の対策として、民間施設の外階段や屋上の柵などの整備に対する補助金適用の検討を掲げた。
 浜岡原発の安全対策では、国や中部電力による情報提供の徹底を働き掛けるとともに、県が収集した情報を県民に積極的に提供していくことを明記する。
(2012/1/18)


建通新聞社 静岡支社