建通新聞社(中部)
2012/01/11
【三重】斎宮跡東部整備 基盤整備、復元建物設計へ
三重県の斎宮歴史博物館(明和町)は、史跡斎宮跡の東部整備事業「蘇(よみがえり)の拠点」について、2012年度に、残る北東部地区の造成などの基盤整備と、3棟の復元建物の実施設計に着手する方針だ。復元事業にあたっては、現在、文化庁の復元検討委員会で審議が行われており、審議了承後に12年度から設計に着手していく予定だ。13年度から復元工事に着手し、14年度内に歴史公園としてのオープンを目指す。
同事業は、明和町斎宮、竹川に位置する史跡東部地区の柳原区画を歴史公園として整備するもの。東西約2`、南北約0・7`、面積約137f。基盤整備では、遺構面の養生のために、盛り土を手厚くした整備や、植栽、舗装、排水・治水を行う。11年度の工事では、中心の区画となる区域の遺構を保護しながらの掘削、造成、遺構を保護する盛土工、法面整形、排水工、調整池の掘削、道路遺構の舗装などを実施。12年度は、11年度に続き、地域内の北東部で掘削、造成、道路遺構の舗装などを実施する。また、発掘した柳原区画の道路遺構について当時の都市計画のスケール感を体感できるように復元表示を行う。道路両側には素掘りの側溝(各2・2b)を整備し、歩行用に側溝を跨ぐ工作物などの整備も行う計画。
建物復元事業は、中院とみられる建物跡のうち、正殿の三間四面庇(床面積94平方b)、西脇殿の五間三面庇(床面積162平方b)、東脇殿の五間一面庇(床面積89平方b)の3棟を対象に行う計画。現在、文化庁の諮問機関である建物復元検討委員会から技術的な指導などを受けており、11年度内に審議が終了すれば、現状変更許可申請を行い、12年度から設計に着手する。順調に進めば13、14年度に復元工事を行う計画だ。なお復元の実施設計は全体の基盤整備実施設計とは別事業となっており、選定方法は未定としている。
基盤整備全体の実施設計は、文化財保存計画協会(東京都千代田区)が担当した。