北海道建設新聞社
2012/01/04
【北海道】市町村にも国際入札拡大? 道がTPPの影響まとめる
道がまとめたTPP(環太平洋連携協定)の分野別の影響によると、「政府調達」分野の交渉では、地方政府の調達基準額が引き下げられると、対象拡大の範囲が、道発注の工事では数件にとどまるものの、建設コンサルでは発注業務全体の2割強が国際入札となる可能性がある。また、現状は都道府県と政令指定都市にだけ適用している地方政府機関の国際入札が、市町村にまで拡大することも想定されるとしている。
政府調達分野の影響では、道の建設、農政、水産林務の3部が発注する工事やコンサルに関する影響を2006―10年度の発注実績を基にまとめた。
現行のWTO(世界貿易機関)政府調達協定の対象工事では5カ年で4件、約179億円だったものが、シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国間のP4協定(環太平洋戦略的経済連携協定)や米国とペルー、米国と豪州のFTA(自由貿易協定)の基準額まで引き下げられると、5カ年で18件、約392億円が該当する。
一方、建設コンサルは、WTO対象は5カ年でゼロだったものが、米国とペルー、米国と豪州のFTAの基準では、5カ年で81件、約54億円が対象となる。基準額が750万円と低いP4協定では、5カ年で7355件、約1070億円が対象。各年度の発注件数の2割強が国際入札になる。
道は、国際入札になれば、地元優遇などの政策が困難になり、競争が激化して「道内中小企業の受注機会への影響が懸念される」ほか「季節労働者対策などに影響を与える」と指摘。
また、今後の交渉によっては、WTOでは対象外となっている市町村の調達が国際入札になる可能性もある。そうなった場合、地元の受注機会の減少、入札期間の長期化、分割発注の廃止や発注ロットの大規模化などの影響が想定されるとしている。
道では、道民合意がないまま、TPPには参加しないよう政府に要請している。