建通新聞社(東京)
2011/12/26
【東京】 都が新10年指針「2020年の東京」発表
東京都は22日、今後10年間の都政運営の指針となる「2020年の東京」を発表した。都がオリンピック・パラリンピックの開催を目指している2020年に東京の進化した姿を示すため、防災・エネルギー対策を柱に掲げて現行の「10年後の東京計画」を充実・強化。新たに八つの目標と、その実現に向けた12のプロジェクトを盛り込んだ。20年までに三環状道路を100%完成させて災害時の輸送を確保するほか、多摩の南北道路も概成にこぎ着けて区部との連携を確実なものにする。エネルギー対策では、天然ガス発電所の建設と自立分散型発電の推進で300万`hの電力を創出する。緊急輸送道路沿道建築物や学校施設などの耐震化も完了させる。合わせて、3カ年のアクションプログラムとなるる「2020年の東京への実行プログラム2012」を公表。12〜14年度の3年間に約2・2兆円を投入する。
今回の計画で掲げた12のプロジェクトのうち、道路整備などに関する「陸海空交通ネットワーク強化プロジェクト」では、10年後までに外環道を完成させて東名高速と結節。中央環状線や圏央道の全線開通と合わせ、地震時の緊急輸送を確保する。多摩の道路ネットワークも南北道路を概ね完成させて東西道路の整備にも着手する。
エネルギー対策を中心とする「東京産電力300万`h創出プロジェクト」では、庁内のプロジェクトチームで検討中の100万`h規模の天然ガス発電所を完成。合わせて「官民連携インフラファンド」の創設で、首都圏にある老朽火力発電所の更新や電力事業への新規参入も後押しする方針だ。
さらに、再開発事業と連動して50万`hのコージェネレーションシステムを新たに導入したり、都内にある30万戸の一戸建て住宅に合計90万`hの太陽光発電設備を設置することで、災害発生時に対応できるエネルギー供給能力を確保する。
「耐震化100パーセントプロジェクト」では、東日本大震災を踏まえて都内の施設と耐震化を一層加速させる。具体的には、12年4月から耐震診断が義務化される緊急輸送道路沿道建築物をはじめ、▽災害拠点病院▽学校施設▽社会福祉施設▽一時待機場所になる民間施設(ホテル・劇場)▽土木施設(橋梁・水門など)―の耐震化完了を目指す。
このほか、ことし9月の第3回都議会定例会で発表した「木密地域10年プロジェクト」では、木密地域の主要な都市計画道路を100%整備するとともに、都独自の防火規制の指定区域拡大や不燃化促進税制の導入によって、不燃領域率を70%まで引き上げる。
一方、「2020年の東京への実行プログラム2012」では、初年度の12年度に7500億円を配分。具体的な施策として、多摩川南岸道路・秋川南岸道路の整備や、東京しごとセンター多摩の移転・整備、オリンピック開催をにらんだ国立霞ケ丘競技場の建替促進などを位置付けた。