静岡県の「富士山世界遺産センター基本構想策定委員会」(委員長・芳賀徹静岡県立美術館館長)は20日、東京都内で第3回会合を開き、同センターの立地場所や施設規模、管理運営などの基本的な方向を示す骨子案を了承した。立地場所については、富士山の眺望や交通アクセス、富士山と構成資産の近接性を踏まえて選ぶよう求める。施設は管理や展示・体感、学習・研修、にぎわい・交流、屋外などのエリアで構成し、これらの機能を十分に発揮できる規模を設定。さらに、民間のノウハウ・活力の導入を視野に、最も効果的で適切な運営方式を整備手法と併せて検討する。
同委員会では、2012年2月をめどに建物の建設地やコンセプト、機能、規模、運営主体などを基本構想案を策定。これを受け、県が12年度に施設の規模や設置場所を決定し、センターで行う事業活動などを盛り込んだ基本計画をまとめる。
施設整備の方向では、まず、基本方針として、@環境(自然環境と調和した外観整備、自然光や雨水などの活用による環境負荷の軽減など)AユニバーサルデザインB更新性・拡張性C維持管理―の4点に配慮する。
立地場所は、美しい富士山の眺望と来訪者の利便性、富士山と構成資産(世界遺産を構成する富士山周辺の資産)との近接性を踏まえて決める。
また、センターの担う機能を▽富士山域の保護・管理▽展示▽教育普及▽交流促進▽調査研究―の五つに設定。これらの機能を十分に発揮するため、事務室や会議室などの「管理エリア」、基本展示室や企画展示室、シアターなどの「展示・体感エリア」、研究室や実習室などの「学習・研修エリア」、ミュージアムショップや飲食施設、観光・登山案内書、多目的ホールなどの「にぎわい・交流エリア」、研究室や書庫・資料室などの「研究・収蔵エリア」、エントランスや案内・受付などの「共用エリア」、屋外展示や広場、駐車場などの「屋外エリア」を配置することとした。
さらに、施設の運営形態について、「最も効果的で適切な運営方式を、整備手法などと併せて検討」することとし、民間のノウハウや活力を効果的に取り入れる方策を視野に入れる。
(2011/12/21)
建通新聞社 静岡支社