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建通新聞社(静岡)
2011/12/19

【静岡】総事業費は約250億円 静岡県が12年度の事業化目指す沼川新放水路

 静岡県は、2012年度の事業化を目指す沼川の新放水路整備で、用地取得費を含めた総事業費に約250億円を見込んでいることを明らかにした。JR東海道線から海岸までの区間(延長約700b)のボックスカルバート区間の事業費を約200億円、東海道線以北の開削区間(一部を暫定整備済み)を約50億円と試算している。15日に開かれた県議会12月定例会の建設常任委員会で、多家一彦氏(自民改革会議)の質問に交通基盤部側が回答した。
 沼川の流域は、雨水が愛鷹南麓の急斜面を短時間に下り、山すそに広がる低地帯に至る。低地帯は海岸に沿って非常に緩い勾配となっているほか、洪水の海への出口が限られているため、浸水被害が多発している。一方、流域の市街化が進み河道の拡幅や掘削が困難で、大型のポンプを設置することも地形上難しい。
 そこで県は、高橋川から沼川を経て駿河湾(沼津市青野〜大塚)に放流する延長約2300bの放水路の建設を計画。富士川水系沼川ブロックの今後20年間の河川整備の具体策を示す「富士川水系富士山麓(さんろく)沼川ブロック河川整備計画」の策定作業を進める中で、高橋川分流地点から河口区間で毎秒150立方bの流量を安全に流せるよう、JR東海道線以北で開水路、JR東海道線以南でボックスカルバート(トンネル)による放水路を構築する方針を固めた。
 総事業費を約50億円と試算する東海道線以北の開水路区間では、用地買収を進めながら、築堤や護岸などの河川整備を行う。これまでに、JR東海道線から国道1号までの区間の用地買収を完了。開水路(掘割)部を暫定掘削し、1万5000立方bの暫定調整池として活用している。
 一方、約200億円を見込む東海道線以南のボックスカルバート区間では、高さ5b、幅10b程度のボックスを横に二つ並べる形でトンネルを構築。関連設備として、吐口部や開口部(ゲート)、国道1号の橋梁化、分流施設などの整備を行う。また、ボックス上部の土地利用について、地元や市と協議を進める考え。
 11年度にまとめる河川整備計画を踏まえ、12年度に新放水路の建設を事業化。下流側から詳細な調査や設計を順次進める。これらの作業と並行して用地買収などを実施する方針だ。
(2011/12/19)

建通新聞社 静岡支社