建通新聞社(中部)
2011/12/16
【三重】輪之内町 農村環境を大事にしたコンパクトなまちづくり
安心安全なまちづくりを掲げ、住んでよかったと言われるまちづくりを目指し、第5次総合計画の策定を進める輪之内町。人口増加率が県内一番の伸び率を示したことや岐阜県企業誘致推進協議会への参入など新たな展開を見せる町の今後について木野隆之町長に話しを聞いた。(岐阜支局=岡本彰)
―第4次総合計画を1年前倒しし、2012年度から第5次総合計画がスタートする。
「第4次総合計画は進捗(しんちょく)管理がしにくいところがあったが、第5次総合計画では、きっちり進捗管理ができ、身の丈に合う財政に裏打ちされた施策展開をしていきたい。これが第4次総合計画を1年前倒しした最大の眼目である。財政を見つめ直すことも重要だが、将来を見据え、町の明るい未来を掲げることも、当然のことながら必要であり、就任以来掲げる安全安心なまちづくりの視点から、住んでよかったと言われるまちづくりを指向して今後10年を構想した」
―注力される事業とは。
「地方分権が叫ばれている今、自らの責任でまちづくりを進めていかなければならない。こうした時代の流れの中で注力する施策としては、『地域住民との情報共有』、『企業誘致』を挙げる。情報の共有化を確かなものにするため、昨年3月に岐阜県内の町村で初となるまちづくり基本条例を制定した。同条例は、情報を共有しながら住民とともに着実にまちづくりを進めていく趣旨のものが盛り込まれている。情報を共有し次のステップに進むためにも新しい総合計画がスタートする前に情報基盤整備として光ケーブル網を敷設した。
企業誘致に関しては、町の財政が国の財政に引っ張られて非常に厳しいものとなっている状況を打破するため、自主財源の確保が必要となる。そうした面でも地に足のついた行財政で町を経営し、税収確保、雇用の確保、投資効果が出るような土地利用も考えながら、企業誘致を進めていく」
―企業誘致を進めるためには。
「多治見市、美濃加茂市、恵那市、可児市、高山市とともに『岐阜県企業誘致推進協議会』を立ち上げた。先日もメッセナゴヤに協議会で出展し、多くの人と話しができる機会を得た。12年3月には東京でも展示会に出展する予定で、これまでのやり方と違う情報収集を図って施策を進めている。多方面にわたる情報収集は企業誘致に不可欠である。情報は少しでも多い方がよいので、これからも活用していきたい」
「そうした中、町の土地の状況は都市計画法で非線引きの都市計画区域、農振法では農業振興地域となっている。やり方にもよるが、土地利用が乱れる可能性があるため、効果的に行政投資を行わなければならない。そして、企業誘致とともに住みよいまちづくりを行う必要がある。居住環境、教育環境もそろっていないと企業を誘致しても単身赴任の人しか来られない。地域の特性である農村環境を大事にし、よい部分を取りいれたコンパクトな町づくりをしていきたい」
―企業を誘致するためにもインフラ整備や工業団地が重要となるが。
「インフラ整備をしっかりしていくのが使命だと考えている。国や県にお願いするもののほか、町道整備についてもしっかりやっていきたい。これに加え、近隣市町とは東海環状自動車道の完成とともにリンクする道路網をよりよいものにしていきたい。現在町としても海津市、養老町とともに(仮称)『新養老大橋期成同盟会』を立ち上げ、大橋の建設に向け活動している。工業団地としては、12年度には大藪地区の敷地面積3万5307平方bを造成し、東大藪工業団地を整備する計画がある。そして、県下でも一番の人口増加率があり、人口も1万人を突破した。特に大藪地区の人口増加が進んでおり、大藪小学校の教室が不足してきているため、増築を計画している。12年度に発注できるようにしたい」