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北海道建設新聞社
2011/12/15

【北海道】正念場の札幌生コン市場−決断迫られる共販再開 

 札幌の生コンクリート市場が分岐点を迎えている。夏場から懸念されてきた需要の頭打ち感は、2011年10月の出荷量が1年2カ月ぶりに前年実績を割り込み、現実のものとなった。一方で、価格は企業間の採算性を重視する姿勢が秋口以降に高まり、泥沼化していた市況に改善の兆しが見え始めた。しかし、市場修復の大前提となる札幌生コン協同組合の共同販売は、いまだ具体的な再建策が出ておらず、こうした市場環境の変化の中で大きな決断に迫られている。
 10年4月の共同販売休止で、工場間の自由競争に火ぶたを切った札幌の生コン市場。標準物(呼び強度21N・スランプ18cm・粗骨材20_)で1m³当たり1万1000円だった市場価格は月を追って下降し、12月には6800円まで落ちた。
 年が明けた11年も是正の気配は芽生えず、むしろ一部業者の売り攻勢が顕著になり、1月には共販休止直後の水準の半値となる5500円にダウン。一方で、採算割れを嫌う自衛措置もじわじわと広がり、その後は平行線をたどる状況が8月まで続いた。
 事態は秋口にかけて大きく変わりだした。好出荷に貢献していたマンション向け需要に一服感が見えてきたためだ。ある生コン会社の社長は「東日本大震災で消費者意識が変わり、マンション購買意欲にも歯止めがかかってきたのでは」と先行きを不安視していた。
 市内の生コン出荷は春先から続くマンション建築に加え、札幌徳洲会病院や勤医協中央病院の移転改築など医療系の大型物件もあり、8月まで2桁の伸長を示していた。しかし、10月以降は「マンション物件の引き合いもなく、福祉や医療関連も一巡してきた感が否めない」と悲観的な声も聞こえるようになってきた。
 事実、北海道生コン工業組合によると、14カ月連続で前年実績を上回っていた札幌市内の生コン出荷量は10月で前年割れに陥った。
 そうした需要局面から、底堅い動きが続いていた市況は9月以降上向いた。9月には500円アップの6000円を付け、現在は7500円まで上昇している。ある生コン会社の幹部は「どこの工場もぎりぎりの状態で運営が続き、消耗戦は限界にきている」と話す。
 最大の焦点となる札生コン協組の共販再開は、具体的な再建計画が宙に浮くなど空転状態が続いている。一方で「早い時期に1万2000円まで戻したい」など、再構築を望む声は協組内外を問わず聞こえている。そのため、札生コン協組は上部団体の道生コン協組連に支援を仰ぎ、来春に向けた共販再開の動きを模索している。