建通新聞社(東京)
2011/12/14
【東京】都が工事請負契約約款を一部改正 甲・乙の表記変更、代理人の常駐義務緩和など新規 低入札工事の技術者増員も明文化 12年4月から適用
東京都は工事請負契約約款を一部改正する。中央建設業審議会(中建審)の公共工事標準請負契約約款にならって甲・乙の略称表記と請負者の呼称を見直すとともに、「現場代理人の常駐義務緩和」や、発注者側に原因のある「工期延長に伴う増加費用の負担」の規定を新たに盛り込む。さらに、低入札価格調査を経て落札決定した工事で求める「技術者の増員配置」なども明記する。2012年4月1日以降の公告・公表案件で適用を始める。
中建審は契約当事者間の対等性の確保などを目的に、10年7月に公共工事標準請負契約約款を改正。それまで使っていた「甲」を「発注者」、「乙」や「請負者」を「受注者」に変更するとともに▽現場代理人の常駐義務緩和▽工期延長に伴う増加費用の負担▽暴力団排除―などの規定を加えた。同年10月からは国交省の直轄工事の契約でも取り入れられた。
これに対し都では、暴力団排除は要綱も定めるなどして同年11月から強化していたが、そのほかは未対応だった。
このため約款を改正し、呼称の変更や現場代理人の常駐義務緩和、工期延長に伴う増加費用の負担に対応。12年度から国と同じ形で制度を運用することにした。
現場代理人の常駐義務緩和については、ことし11月の国の運用指針で示された▽現場事務所の設置、資機材の搬入、仮設工事が開始されるまで▽施工の全てが一時中止▽橋梁、ポンプ、ゲートなどの工事で工場製作のみ実施―といった期間で措置する。発注者との連絡体制が確保されていることなどが条件だ。
また、低入札価格調査を経て落札決定した工事に対する「技術者の増員配置」の規定も明文化し、約款に基づく義務を受注者に課す。配置技術予定者欄に記載した主任・監理技術者と同等の資格を持つ技術者を1人増やして専任配置し、名前などの通知を求める格好で、既に09年度から運用している。