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北海道建設新聞社
2011/12/08

【北海道】12年度道内経済成長率は実質、名目ともマイナス−北洋銀

 北洋銀行は7日、2012年度の道内経済見通しを発表した。消費自粛傾向はやや薄れるが、住宅投資の持ち直しが一服することなどから、実質成長率はマイナス0.3%(11年度実績見込みはマイナス0.9%)、実体経済に近い名目成長率はマイナス0.6%(同マイナス1.5%)と予測。ともにマイナス成長を見込んだ。12年度の道内総生産は、ピークの1996年度に比べて3兆4000億円程度少ない17兆5000億円にとどまるとみている。
 調査を担った北海道二十一世紀総合研究所の斉藤正広調査部長は、移輸出の改善を唯一の明るい材料と位置付け、「夏の観光シーズンには、中国人観光客が東日本大震災発生前の水準に近づくとみている」と話した。
 12年度の見通しを需要面から見ると、個人消費に当たる民間最終消費支出を中心に住宅投資、設備投資、公共投資の各項目ともマイナス成長を見込んだ。
 民間最終消費支出については、消費自粛傾向は震災の影響を受けた11年度からやや薄れるものの、不要不急の消費を敬遠する傾向は強まっていると判断。企業が収益を上げにくい環境は変わらず、人件費抑制は依然続くとの見通しを示した。
 住宅投資は、11年度第3次補正予算で再開された住宅エコポイントが一定程度市場を下支えするが、住宅購入適齢層である30歳代に雇用不安が広がっていることから、個人の住宅取得意欲は改善しないと説明。持ち家は横ばい、貸家はやや減少、分譲はマンションの反動減から減少に転じるとみている。12年度の新設住宅着工戸数は、11年度実績見込みより1300戸程度少ない2万9700戸台にとどまるとする。
 設備投資に関しては、医療・福祉関連や小売など流通関連で新規出店が見込まれるが、それ以外は投資に対して慎重と説明。公共投資は、北海道新幹線新青森―新函館間の工事が最盛期にあるものの、被災地に予算が重点配分されることから、道内の予算削減は避けられず、11年度から5%程度削減されるとみている。
 一方、移輸出は自動車関連部品のほか、安心・安全を売りにした道内産農畜産物の出荷増が見込まれること、原発事故の風評被害で急減した外国人観光客が増加基調にあることから唯一のプラス成長を見込む。移輸入は、需要の弱さを背景に家電製品や自動車といった耐久消費財の移入が減るとの見方から、マイナス成長と判断している。
 12年度の道内総生産は、11年度実績見込みを0.6%下回る17兆5269億円を見込む。内訳は、民間最終消費支出が10兆8367億円、住宅投資が4175億円、設備投資が1兆5013億円、公共投資が1兆1536億円などとなっている。