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建通新聞社(神奈川)
2011/11/24

【神奈川】神奈川県地震災害対策検証委員会 中間報告書 津波・液状化対策の考え方など示す 

 神奈川県の地震災害対策を検証する、有識者による神奈川県地震災害対策検証委員会(座長・吉井博明東京経済大学教授)は、早急に取り組むべき施策の方向性を中間報告書にまとめ、公表した。まず、「ハード整備に過度に依存した対策には限界がある」と指摘した上で、ソフト対策を組み合わせた「自助、共助、公助の取り組みを強化しながら県域全体の災害対応力を向上すべき」との考えを示した。具体的には、津波避難ビル・タワーの整備・指定による津波対策や、液状化被害想定に基づく情報提供などを必要施策に掲げた。
 東日本大震災を教訓に、県がこれまで行ってきた地震災害宅の検証と、今後必要な対策の方向性をまとめた。
 早急に取り組むべき対策の方向性として、津波避難対策や帰宅困難者対策、液状化対策、自然災害回避情報(アボイド)の提供、広域支援・受け入れ体制整備、災害救援ボランティアの充実などを挙げた。
 津波対策では、県民の避難行動を支える適切な避難路や津波避難ビル・タワーの整備・指定に加え、防災行政無線の整備の必要性を指摘した。
 液状化対策では、事前策として県民や企業・事業所などが行う立地選択や地盤改良に役立つよう、揺れの周期や継続時間を考慮し、被害想定の情報を提供することが重要だとした。
 また、液状化による事後の復旧対策に関連して、自然災害で生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対する支援金制度「被災者生活再建支援制度」の改善も求めた。建物の構造に問題がなければ地盤が液状化していても災害認定しないという、現在の適用条件の見直しを検討すべきだとした。
 同制度は、都道府県が運営事務を被災者生活再建支援基金(財団法人都道府県会館)に委託し、支援金を拠出。国も補助金を交付する。被災者は市町村を通じて支援金の受給を申請する仕組み。
 今後、被災者生活再建支援制度を含め、地震被害想定調査や地震防災戦略などの課題について検討を進める。2012年3月に検討結果をまとめる。それらの報告を受けて県は、必要な対策を地域防災計画に位置付け、早急に対応していく考えだ。