建通新聞社
2011/11/21
【大阪】近畿整備局 土砂ダム対策工事で無人化施工、国内最大級の分解型ショベルを投入
国土交通省近畿地方整備局は、熊野川(十津川)流域の長殿地区・赤谷地区で実施している土砂ダム緊急対策工事において「無人化施工」を行う。国内最大級の分解型油圧ショベルを日本で初めて実践投入する。
両地区では、崩落斜面からの土砂の崩落・転石による二次災害を防止するために防護土堤を施工。作業の安全確保を目的に建設機械を無線で遠隔操作し、無人で作業を行う「無人化施工」を実施することとした。
長殿地区(奈良県十津川村)は堤長75mの防護土堤を整備。中部地方整備局が所有する国内最大級の分解型ショベル(1M3級)1台を使用する。搬路がないためヘリで空輸し、組み立てを実施。16日から作業を進める。施工は鴻池組。
赤谷地区(奈良県五條市)の防護土堤は堤長200m。油圧ショベル(1.6M3級)1台、クローラダンプ(10t積み)1台を使用している。施工は鹿島。
無人化施工は、人間が立ち入ることができない危険な作業現場において、遠隔操作が可能な建設機械を使用し、作業を行うもの。1990年の雲仙普賢岳(長崎県)噴火の後、93年から始まった緊急対策工事で、除石工事の掘削・積み込み・運搬の一連の土木工事に適用したことを契機に、実用的な工法として確立された。
東日本大震災においても、福島原発のがれき撤去などで利用している。土木研究所技術推進本部の茂木正晴氏は「雲仙普賢岳での施工において、オペレータの熟練度が飛躍的に向上した。無人化施工と情報化施工は切っても切れない関係で、情報化施工が一般化されれば、無人化施工も事例が増えるだろう」と話す。