建通新聞社(東京)
2011/11/15
【東京】 日本芸術文化振興会 国立劇場、演芸資料館の劣化度など日本設計で調査
日本芸術文化振興会は、国立劇場本館と演芸資料館の劣化度などを調べる業務の委託先を日本設計(新宿区)に決めた。14日に開札した一般競争入札で同社が落札者となった。経年劣化が進む両施設の改修や改築をにらみ、業務を通じて今後の対応方針の具体化につなげる考え。
国立劇場本館と演芸資料館の所在地はいずれも千代田区隼町4ノ1。国立劇場本館は鉄骨鉄筋コンクリート一部鉄筋コンクリート造地下1階地上3階建て延べ2万6567平方b(1966年10月完成)、演芸資料館は鉄筋コンクリート造地下1階地上4階建て延べ2442平方b(79年2月完成)の規模となっている。
修繕や躯体の耐震補強などは実施しているものの、大規模改修を施していないため経年劣化の進行が著しい。また、劇場を取り巻く社会情勢や法律、観客層などの変化に伴って、機能面で不都合が生じているという。
今回の業務では、建築と電気・機械・防災の各設備(舞台設備は除く)の劣化度調査や、建築非構造部材と設備の耐震診断を実施。建築基準法をはじめとする法令への適合状況も調べる。
その上で劣化原因や劣化対策、緊急性の順位付けを含めた対応方針、概算工事費などを成果としてまとめる。履行期限は2012年3月16日。
日本芸術文化振興会は、国立劇場本館が開場から40年以上経過したことを踏まえ、09年度に長期整備方針検討委員会を設置。これまでの検討では、現施設の耐用年数が「数値上では築85年(2051年)まで」とする一方、今後40年間の安全な運用を維持するために「建築設備」と「舞台機構」の全面改修時期の必要性が指摘されている。