トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

北海道建設新聞社
2011/11/02

【北海道】相次ぐ病院建て替え、増改修−老朽化で一斉に更新時期 

 道内で病院施設の建て替えや増改修が相次いでいる。30―40年前に建てられた多くの施設が更新時期を迎えていることが主な要因。道内では年明け以降、民間非居住用建築物の着工延べ床面積が前年同月を大きく上回る状態が続いているが、背景にはこうした動きの増加がある。金融業界では、医療・福祉関連への融資を強化しようとする機運が高まっている。
 道によると、道内には、2011年4月1日現在で公共・民間合わせて583の病院がある。このうち約130の施設が30―40年前に建てられていて、多くが老朽化に伴う建て替えや増改修の必要性に迫られている。
 大小合わせ200以上の病院が集まっている札幌市内では、国の地域医療再生交付金が創設された2年前から、建て替えなどが徐々に増えてきた。最近では、10年末に札幌徳洲会病院が移転改築に着工。11年に入ってからは、札幌麻生脳神経外科病院、勤医協中央病院、井上病院、北海道脳神経外科記念病院、札幌厚生病院、羊ケ丘病院、天使病院が相次いで移転新築や増改築を開始した。
 国土交通省が毎月発表している民間非住居用建築物の着工床面積を見ると、道内の延べ床面積の合計は10年12月から8カ月連続で前年同月を上回っている。年明け以降は、1月が2.5倍になったほか、2月、4月、6月がいずれも40%超の伸びを示すなど大幅な増加が続いた。
 日銀の高田恭介札幌支店長は10月の定例記者会見で、最近の傾向として「病院や老健施設の建て替え、新築が目立っている」と述べ、これが非住居系の床面積を押し上げているとの見方を示した。
 こうした状況を受けて道内の一部金融機関には、医療・福祉分野を重視する動きが広がっている。北洋銀行は、病院や診療所、老健施設への融資を積極化することを決めた。現時点で約1500億円に上っている医療・福祉分野向けの融資残高を、同行の中期経営計画が終了する14年3月末までに1900億円に拡大する方針だ。
 北洋銀行は、10年5月に医療機関や福祉・介護事業者に対して情報提供や開業支援などを担当する医療・福祉支援室を設置。同10月には医療専門担当者制度を設け、職員に専門知識の習得を促してきた。現在は本店に3人、函館、旭川、釧路、北見、小樽、苫小牧の各支店に1人ずつ計9人の医療専門担当者を置いている。当面は毎年度、100億円ずつ融資を増やす目標を掲げている。
 一方、北海道銀行は体制面での強化を図っているわけではないが、「医療・福祉分野の重要性は十分に認識している」(広報CSR室)と、将来的な融資拡大に意欲を見せている。
 病院の建て替えラッシュは当面の間続くとみられることから、日銀札幌支店では「複数の金融機関が、医療・福祉分野を数少ない成長産業の一つに位置付けている」と話している。