尾鷲市は、「輪内中学校耐震整備に伴う実施設計」の公募型プロポーザルを行い、設計者にアスカ総合設計(松阪市)を特定した。プロポーザル案を基に10月から関係者が協議を始めており、2012年3月15日までに実施設計を完了させる。
新校舎は鉄筋コンクリート造2階建て延べ約1500平方b。同校はリアス式海岸の沿岸部にあり、津波対策が課題で、最優秀案もその対策案が評価された。
新校舎の建設場所は、グラウンドと校舎側敷地に約1・5bの高低差があり、校舎側のほうが高くなっている。新校舎は、さらに盛り土をして海抜からの高さを確保した盛り土部とグラウンドとにまたがるように建設される。グラウンド側の校舎下部はピロティー形式となり、外観的には盛り土側は2階、グラウンド側は3階建ての校舎になる。
校舎は直方体ではなく、同校北側の崖を背に弧を描くように配置され、校舎最上階から崖を通る市道に直接出られる渡り廊下を設ける。市道は、校舎につながる地点で海抜約12bあり、そこからさらに高台に逃げることができる。また弧の形を利用して津波の力を分散させる効果も狙った。
教室のうち長時間滞在する普通教室は津波の影響を受けにくい2階に設置。また、給食調理室も災害時でも機能を維持できるよう2階に配置した。食材などを運ぶため崖とつなぐ廊下は車が通れる強度にする。
建築本体は12年度に行い、13年度から供用開始する。現校舎解体と外構は13年度に実施し、夏休みまでに完成させる。解体などを含む概算工事費は約5億5000万円(消費税込み)。
主な施設内容は、普通教室3室、特別支援教室1室、理科、音楽、美術、技術、調理室、被服室、コンピュータ教室、図書室の特別教室と、校長室、事務室、職員室、印刷室、保健室、給食調理室、調理員室、放送室の管理諸室。2012年度の推計生徒数は51人。
解体する校舎は、普通教室・特別教室棟が鉄筋コンクリート造3階建て延べ2106平方b、特別教室棟が鉄骨造平屋657平方b、給食施設が木造平屋31平方b。所在地は賀田町572。