北海道建設新聞社
2011/10/24
【北海道】会沢高圧コンクリートが2次製品事業を再編へ−来年4月に新会社
会沢高圧コンクリート(本社・苫小牧)は、ボックスカルバートや穴あきPC板などコンクリート2次製品(プレキャスト)事業のグループ生産体制を再編する。「アイザワコンクリートプロダクツ株式会社」を2012年4月1日に立ち上げ、直営4工場と完全子会社5工場の生産体制を見直す。北斗市にある道南ヴイ・シー・ファイブの製品工場は12月末で閉鎖。一方で、茨城県内にある他社の閉鎖工場を借り受け、宮城県内の直営工場とともに東北地方の復興需要に向けた事業展開を図る。
グループのヤマガミアイザワ(本社・札幌)を母体とし、アイザワコンクリートプロダクツ(ACP)に商号変更する。資本金1000万円で、本社は札幌市内に置く。社長は会沢高圧コンクリートの会沢祥弘社長が就任する予定だ。
会沢高圧コンクリートの静内、鵡川、深川、栗原(宮城県)の直営4工場と、ヤマガミアイザワによる訓子府、北見、札幌の3工場、東洋コンクリート(本社・北斗)亀尾工場のグループ生産網を見直す。
このうち、道内は大型プレキャスト製品向けの生産設備が整っている鵡川と札幌、訓子府の3工場をメーンとし、残る4工場は夏の需要期に主力3工場を補完するサテライト拠点として機能させる。
北斗市内に工場を持つ道南ヴイ・シー・ファイブはすでに生産活動を止めていて、11年末で清算。さらに東洋コンクリートは函館市内での生コン事業に特化する。
栗原工場は、東北地方での復興需要に対応するため、住宅用Hパイルと土木用プレキャスト製品のメーン拠点として稼働させる。加えて、スパンクリートコーポレーション(本社・東京)が閉鎖した茨城県内の岩瀬工場をサテライト拠点として11月に借り上げ、栗原との2局体制で東北向け出荷をカバー。両工場合わせたHパイルの生産量は年間4万d、投入人員は50人程度になるという。
APCの設立は、実需に合わせたリアルタイム生産の確立が狙い。将来を見越した大量生産で名目上の単位原価を下げる方法を改め、実納期に連動した生産によりスリムな運営を実践する。在庫量は従来の40%まで下げられるという。
主力4工場の運営体制はそのままに、サテライトの5工場を通年型から夏の需要期だけ稼働させる期間限定工場″へ変えることで「生産量を落とすことなく、固定人員はピーク時に比べ100人強のスリム化となる」(会沢社長)という。
さらに、子会社ごとに設けている管理職などの組織体制を一元化することでコストの圧縮につなげるほか、経営判断の意志決定も迅速化すると見ている。
会沢高圧コンクリートの11年3月期の単体売上高は前期比10%減の164億円で、純損失は7億円となった。リーマンショック以降の民間建築の冷え込みから、それまでの経営方針だった2桁の成長戦略を10年5月で転換し、「在庫の大幅圧縮という赤字のウミを出し切ったため」(会沢社長)だという。
関東圏だけで十数億円あったパイルの事業計画を切り捨て、中国でのパイル生産を11年3月末に停止。東京に拠点を置くパイル部門の人員は住宅用Hパイルに振り替え、社内体制の再構築を図った。今回のプレキャスト事業の再編も、そうした動きの一環となる。