建通新聞社(中部)
2011/10/21
【三重】三重県緊急地震対策行動計画まとめる 耐震化の向上など
三重県は「地震から命を守る」を優先すべきテーマとし、津波避難、耐震化などの緊急課題の整理と実施を盛り込んだ「三重県緊急地震対策行動計画」(以下、行動計画)をまとめた。計画期間は2011年度から12年度までの2年間とし、具体的な行動のうち、揺れへの対策として、住宅の耐震化では耐震診断数を2年間で7000件に、重要施設の耐震化では県立高校の耐震化率を99%にするなどの目標を掲げた。
地震対策についての県の取り組みとして、今回の行動計画を第1段階とし、第2段階として、今後、国の方針などが示された段階で「新地震対策行動計画」(仮称)を策定し、行動計画を発展的に統合させ、地震に強いまちづくりなどの社会基盤整備を含めた総合的な地震対策を進める方針だ。
行動計画策定にあたっては、三重県浸水予測図を従来の地震規模想定マグニチュード(M)8・7をM9・0に設定して策定した浸水予測図を前提条件とした。それにより浸水深の想定範囲が増加することになり、従来の対策のままでは被害が増加することが予測されるため、「緊急」「集中的」に取り組む施策などを行動計画に盛り込んだ。
行動計画の構成は、津波避難対策として、避難計画、避難方法、避難基準、情報提供体制、避難場所など13項目の行動項目、目標を設定。特に避難場所では、衛星携帯電話や非常用発電機の整備促進、太陽光発電設備、蓄電システム設置などを、情報提供体制では、防災行政無線の整備促進などを盛り込んだ。
住宅の耐震化では、県内には、現行の耐震基準を満たさない1980年以前の木造住宅が多く存在していることから、住宅の耐震化や家具固定の取り組みを進める。耐震診断の目標は、11〜12年度の耐震診断数を7000件とした。(10年度実績は2333件)。このほか、家具固定にかかる市町への財政支援、液状化対策のための東日本大震災被災地状況調査を実施する。
重要施設の耐震化では、県庁舎や拠点病院などの耐震化を図る。具体的には、県庁舎などの緊急点検、県立高校の耐震化率を99%に上げる(11年度は96・6%)。公立小中学校、私立学校の耐震化の促進。学校の非構造部材の点検着手、また県立学校のガラス飛散防止対策で目標を300棟とした(11年度の実施棟数は172棟)。医療施設については、医療施設耐震化臨時特例基金を活用し拠点病院などの耐震化を図り目標を71・4%とした(10年度の耐震化率54・7%)。市町、民間に対しての大規模空間建築物の天井の点検と整備方針の状況調査を実施する。
このほか、避難者支援で、円滑な救援・支援に資する津波災害時道路啓開計画の策定、応急体制の充実などでは、専門的な技術や知識、資機材などを有する各種団体、企業との災害応援協定締結の推進を挙げた。