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建通新聞社(静岡)
2011/10/21

【静岡】静岡県 富士・富士宮地域で天然ガスコージェネの活用モデル事業へ

 天然ガスコージェネレーションシステムや自家発電設備を工場などに導入して地域内で電力を確保する「エネルギー自給率の向上」と、そこで発生する余剰電力や熱を地域内で融通する「次世代エネルギーネットワークの構築」を目指した新たな取り組みがスタートした。静岡県が設置した「分散型エネルギーシステム活用研究会」(会長・荒木信幸静岡理工科大学学長)は19日、富士市内で初会合を開き、富士・富士宮地域を対象にモデル事業を実施し、規制緩和策や今後の取り組みの方向などを2012年2月をめどにまとめることを決めた。
 同研究会は、学識経験者のほか、電力会社やガス会社、地元企業、地元自治体などが参画。天然ガスコージェネレーションシステムなどの活用と、余った電気や熱を地域で有効利用するための仕組みを考える。
 富士・富士宮地域をモデルとするのは、紙パルプ製造業などで天然ガスコージェネレーションシステムなどの導入が進んでおり、系統電力ネットワークや天然ガスパイプラインが整備されているため。これらの既存の設備を活用したモデル事業を構築し、これを県内のほかの地域に拡大していきたい考え。
 会合では、静岡ガスの担当者が、「袖師基地を拠点とする県西部への天然ガスの幹線(パイプライン)が13年に完成すれば、県内をカバーするパイプライン網ができる」「天然ガスコージェネレーションシステムのポテンシャルは高い」と説明。一方、原油と連動して決まっている天然ガスの価格が高止まりしていることを課題に挙げた。また、東京電力の担当者が「原油に比べ二酸化炭素の排出量が少なく、天然ガスを利用するメリットがある」と述べた。
 一方、天然ガスコージェネレーションなどを導入している民間事業者からは、「赤字を出してまで導入するという考えは民間にない。利益の出る価格が重要」「蒸気以外の低い熱(80〜90度の温度の水)の使い道がない」「騒音対策なども含めたコストとメンテナンス費用の高さが課題」「国内で導入を進めるよりも、価格の安い海外に拠点を移転する方が現実的」といった声が出た。
 こうした意見に対し、県側は、「個別の企業の取り組みであればコストが重要になるが、地域単位の企業が余っている電力や熱を地域に供給する仕組みができれば、一定のコストを回収できる」と述べ、地域全体を見据えた検討を求めた。
(2011/10/21)
建通新聞社 静岡支社