北海道建設新聞社
2011/10/20
【北海道】札幌市中央卸売市場が防災体制強化、地下水活用設備導入へ
札幌市中央卸売市場は、東日本大震災を踏まえ大規模災害が発生しても市場の流通機能が確保できるよう、防災体制の強化に乗り出す。まずは飲料水に地下水を活用する設備を導入。既設の非常用発電設備に加え2012年度に設置予定となっている市内最大規模の太陽光発電設備により、電力供給停止時も地下水処理機能を維持し、常に飲料水を確保できるようにする。ボーリング調査から設計、施工までを12年度中に実施する考えだ。
仙台市やいわき市、福島市など東日本大震災被災地の中央卸売市場では、震災後一定の期間、水の供給が停止したため市場機能の回復が遅れ、食料流通が大きく滞った。
この教訓から市中央卸売市場管理課では、上水道が途絶しても業務が継続できるよう、地下水をくみ上げ、飲料水として利用できるレベルまでろ過処理する設備を設けることにした。
同課では「災害時の食料供給はライフラインともいえる。仙台市やいわき市などでは震災直後、人々が市場に続々と集まってきたと聞く。市内の生鮮食料品の6割を担う市場の機能を停止させるわけにはいかない」と話している。
同市場は現在、年間12万d以上の上水を使用していて、そのほとんどを水産棟で利用している。計画では平常時も年間9万dの地下水をくみ上げ、上水と混合して利用することを想定。災害時には、飲料水として周辺住民に給水することも念頭に置いている。
このほか、同市場では大規模災害時でも食料供給を継続できるよう、集荷・配送の体制も整える。運送車両が優先的に給油を受けられるよう周辺のガソリンスタンドと協定を結ぶほか、市場関連業者との連携による災害対応体制も構築する。