静岡県は2012年度、社会資本の整備に「ふじのくに色彩・デザイン指針」の全庁運用を開始する。県土を地域ごとの景観特性によって区分し、構造物の色彩やデザインを周辺の景観と調和させる。県交通基盤部がことし7月以降に発注している設計業務委託や工事に適用しているが、これを除草や応急仮工事、屋内工事などを除く県のすべての事業に反映する。
景観形成に関する県の“率先垂範”のガイドラインとなる色彩・デザイン指針(社会資本整備)では、@県土の景観をより印象深く実感させる(景観を阻害する構造物の設置を最小限にとどめる)A周辺の地域特性や自然環境に配慮するB景観と安全性を両立するC公共施設を景観の脇役とするD安易な装飾・デザインを不要とする(施設の機能と無関係な装飾や、飽きられやすいデザインを使用しない)―が基本的な考え。
県土の景観特性を基に、▽大都市の商業業務地▽小都市の商業地▽既成の住宅地▽幹線道路沿道の商業地▽郊外の新住宅地▽田園地帯▽工業地▽農山漁村集落▽別荘地▽山間地▽海岸など―にエリアを区分し、それぞれ構造物の望ましい色彩とデザインを提示した。
さらに、河川、海岸、砂防・治山、ダム、道路、橋梁、トンネル、港湾・漁港、農地・農業用施設、森林、公共建築物の各施設ごとに、留意事項を記載した。
例えば、河川の斜面・法面で、「過度に直線化したり画一的な断面にしない」「瀬や淵(ふち)を生かすなど縦断的な連続性に配慮した、親水性の高い水辺景観を創出する」ほか、護岸の整備では「コンクリート護岸など明度が高い素材で、凹凸を付けるなど明度を下げる」などとした。
道路については、沿道の景観や地域の景観資源を生かすための「脇役としての整備が望ましい」と位置付け、防護柵の整備に当たって「水辺や海岸線などでは、安全性を確保するとともに、極力、透過性のある構造(ガードパイプ、ガードケーブル)とし、色彩に配慮する」こととする。
運用を始めている交通基盤部では、設計や工事の発注の際、景観への配慮に関する特記仕様書を添付し、色彩・デザイン指針に沿った取り組みを受注者に求めている。12年度の全庁での運用に当たっても、同様に特記仕様書に明記する方針だ。
指針を県のホームページ(http://www.pref.shizuoka.jp/kensetsu/ke-510/fujinokuni-shishin.html)に掲載している。
(2011/10/19)
建通新聞社 静岡支社