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北海道建設新聞社
2011/10/14

【北海道】道本庁舎の耐震化が始動−工法検討委託業務を月内にも公告 

 道庁本庁舎の耐震化に向けた作業が本格化する。耐震工法を検討する委託業務を今月中をめどに一般競争入札公告する。工法は「免震レトロフィット」が有力。工期を考慮すると実施設計は2012年度に着手する公算が大きいが、施工業者を含めた受注者の選定方法も11年度内に検討する。
 道庁本庁舎は、SRC造、地下2地上12階塔屋3階、延べ5万7793m²で、建築面積は2636m²。1968年に竣工した。
 96年に実施した耐震診断で、耐震判定係数は0・61と低く、国土交通省の「官庁施設の総合耐震計画基準」の耐震安全性の分類上求められる目標値1・5を大きく下回っている。
 95年に制定した耐震改修促進法は、多数の人が利用する特定建築物で81年以前に建てられたものに、耐震改修する努力義務を課した。また、道は06年に定めた北海道耐震改修促進計画で、特定建築物の耐震化率を15年度末には9割にすることを目標に掲げ、本庁舎の耐震化の時期を探ってきた。
 ことしは、道の6月補正予算に工法検討調査費として420万円を計上。9月に開かれた第3回定例道議会でも高橋はるみ知事が、道耐震改修促進計画の最終年度となる15年度に耐震改修工事を完成させる方針を示した。
 工法検討調査は「道庁本庁舎耐震化に係るアドバイザリー委託業務」として発注。他県による庁舎耐震化への取り組みなどを参考にした適切な耐震工法の提案を求める。これらの結果を基に、事業費や全体スケジュール、発注方式を固める。
 庁舎の耐震化は、施設を使用しながら工事が進められる「免震レトロフィット工法」が主流。コスト面では耐震ブレースを施す耐震補強や揺れを抑える制震工法が優れるが、事務機器などが転倒する可能性や、工事期間中に仮庁舎への移転が必要となる場合もある。
 最近、耐震改修を手掛けた庁舎では、三重県(03年完成)、仙台第3地方合同庁舎(09年完成)愛知県(同)、横浜市(同)、鳥取県(11年11月竣工予定)、長野県(14年3月竣工予定)が免震レトロフィットを採用している。
 免震レトロフィットでは道庁本庁舎と同規模の場合、実施設計を含めて4年程度かかることから、15年度末に竣工させるには12年度中に実施設計を終わらせる必要がある。
 67年に竣工し、耐震改修を進めている長野県庁舎は、道庁本庁舎の規模に近い。SRC造、地下1地上10階塔屋2階、延べ3万5964m²、建築面積は3426m²。工期は3年、改修費は28億円を費やす。
 免震レトロフィットの場合、ゼネコンが独自の技術や免震装置を持つことに着目して、設計・施工一括発注方式(デザインビルド=DB)で受注者を決めるケースもある。
 鳥取県は、DBを採用。ゼネコンと設計業者によるグループが落札し、設計監理と施工の業務を分担した。愛知県は基本設計と実施設計監修、工事監理の3業務を設計業者に委託し、実施設計と施工は総合評価方式のDBでゼネコンに外注している。