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建通新聞社(静岡)
2011/09/26

【静岡】静岡県 浜松で農業用水に小水力発電・静岡で貯水池に太陽光発電

 静岡県は、新エネルギーの農業水利施設への利活用を促すため、農業用水路への小水力発電と、農業用貯水池への太陽光発電の導入に向けた概略設計に着手する。9月補正予算案に促進事業費として調査・設計費500万円を盛り込んだ。小水力発電を浜松市内、太陽光発電を静岡市内に設置することを想定。現地調査や施設配置などとともに採算性などを検証し、2011年度末までに実施の可否を判断する。
 小水力発電の導入を検討するのは、浜松市内の農業用水路。過去に実施した導入可能性調査の結果、水流により50`h程度の発電が可能で、用水の施設運営に必要な電力を賄いつつ売電する出力を得られることが分かっている。
 発電設備を落差工のある場所に設置することを想定しており、今後委託する概略設計の中で、現地調査や施設配置の検討、水車形式の検討、水理計算など行い、事業の実施が可能か判断する。
 農業用水路に小水力発電設備を導入する場合、事業主体は受益者(利用者)である土地改良区となる。そこで県は今後、概略設計と並行し、対象となる土地改良区との協議を進めていく。
 事業化する際には、土地改良区が国庫補助を得て直接行う場合と、県が事業協力する形のいずれかが考えられている。概略設計の結果を基に、これらの事業手法や、設備の規模や設置場所などを盛り込んだ事業計画を策定する。
 一方、太陽光発電設備の設置を検討するのは、静岡市内の民間の農業用貯水池。まず、現地調査と施設導入可能性調査を行った上で、施設の配置や規模などを概略設計の中で検討する。現段階で、ファームポンド(農地や農地の近くに設ける小規模な貯留施設)の天井部分に設備を設置し、発電した電力を施設園芸(ハウス)などに利用する形を想定しており、発電装置の出力や需要などを見極めた上で、事業化の可能性を探る。
 調査・設計業務は、小水力発電と太陽光発電を一括するのか別途行うのかを今後固め、9月補正予算の成立後、できるだけ早期に発注する。
 県では、今回の事業をモデルに、民間の農業水利施設への新エネルギー導入を促していく考えだ。 
(2011/9/26)

建通新聞社 静岡支社