建通新聞社(神奈川)
2011/09/21
【神奈川】神奈川県地価調査 変動率は全地点下落率縮小
神奈川県はきょう21日、2011年地価調査結果を公表する。県内の基準値価格の動向を見ると、用途別平均変動率は住宅地がマイナス1・5%、商業地がマイナス1・6%と3年連続で下落したが、下落率は前年に続き縮小傾向にある。
市区町村ごとの用途別平均変動率は、前回上昇した川崎市中原区の商業地を含め、すべて下落した。下落率は、前年より縮小する市区町村が多かった。基準地別の変動率は、上昇地点がゼロとなる一方で、横ばいが40地点に増加。2008年秋のリーマン・ショック以降の下落率が年々緩やかになっている。
調査は7月1日に県内全域927地点で行った。このうち継続調査地点が911地点、選定替地点が16地点。基準地価格は、国が毎年公示する「公示価格」とともに、土地取引価格の指標や公共事業用地の取得価格算定の基準として利用されている。
=住宅地概況=
県全体の平均変動率はマイナス1・5%(前年マイナス2・0%)と引き続き下落しており、継続地点566地点中、24地点が横ばい、542地点が下落。
横浜市の平均変動率はマイナス1・3%(同マイナス2・3%)。前回最も下落率が大きかった青葉区がマイナス0・9%(同マイナス2・2%)と下落率が1%未満に縮小した。川崎市はマイナス0・8%(前年マイナス1・3%)で、幸区と中原区、高津区、宮前区の4区が1%未満の小幅な下落。相模原市はマイナス1・5%(同マイナス2・5%)。藤沢市がマイナス0・9%(同マイナス1・5%)、鎌倉市がマイナス1・0%(同マイナス1・5%)、茅ケ崎市がマイナス1・0%(同マイナス1・2%)など、多くの市町村で下落率が前年より縮小している。
個別の基準地では、辻堂駅北口周辺の3地点や本厚木駅南口周辺の2地点で横ばいになった。
一方、県西部では山北町がマイナス4・6%(同マイナス4・2%)、中井町がマイナス4・5%(同マイナス4・5%)、南足柄市がマイナス4・0%(同マイナス4・4%)と比較的大きな下落が続いている。
=商業地概況=
県全体の平均変動率はマイナス1・6%(前年マイナス2・6%)と前年に続き下落しており、基準地別の変動率は、継続地点212地点中14地点が横ばい、198地点が下落。
横浜市の平均変動率はマイナス1・8%(同マイナス2・6)で、戸塚区と旭区、青葉区、都筑区がマイナス1%未満。横ばい地区は戸塚駅西口1地点と青葉区2地点(たまプラーザ駅周辺、あざみ野駅周辺)、都筑区1地点(センター北駅周辺)の4地点だった。
川崎市の平均変動率はマイナス0・6%(前年マイナス1・2%)。10年は中原区の4地点が上昇したが、11年は上昇地点がなくなる一方で、横ばい地点が10地点(前年2地点)に増えた。
相模原市はマイナス1・7%(同マイナス2・8%)など、すべての市町村で下落が続いているが、下落率は縮小傾向。ただ、県西部や三浦半島地域では下落率が拡大し、山北町がマイナス4・5%(同マイナス3・9%)、三浦市がマイナス3・7%(同マイナス3・6%)、真鶴町がマイナス3・4%(同マイナス2・5%)となった。
=工業地概況=
準工業地の平均変動率はマイナス1・6%(前年マイナス2・1%)、工業地がマイナス1・7%(同マイナス2・4)と下落幅が縮小。羽田空港に近い川崎区浮島町の工業1地点が前年に続き横ばい、高津区の準工業地1地点(溝の口周辺)が横ばいとなった。(6面民間開発NEWSに関連記事)。
神奈川県が公表した2011年地価調査結果によると、県内の地価の動向はすべての用途で3年連続して下落しているものの、下落率は縮小する傾向にある=1面関連=。
調査基準地の価格は、住宅地・商業地とも上位1〜10位地点は前年と同じだったが、住宅地では、前年2位の「日吉本町1ノ16ノ8」が1位となり、1988年以来23年間1位だった「山手町247ノ6」が2位に入れ替わった。東京への利便性が高いエリアや、再開発された戸塚駅周辺、湘南C―Xの開業を控えた辻堂駅周辺などの地価は下落せず、横ばいとなっている。
3月11日に発生した東日本大震災の影響としては、デベロッパーの”様子見”が5月ごろまで続いていたが、7月1日の調査時点では取引件数が徐々に回復している。商業地、準工業・工業地とも、マンション建設の適地は需要が底固く、横ばいの地点が増加した。
住宅地の基準地別順位1位の「日吉本町1ノ16ノ8」は、1平方b当たりの価格が前年と変わらず44万3000円。2位の「山手町247ノ6」は、3・9%下落した前年よりさらに2・2%下がって43万7000円。ただ、調査地点の敷地面積は日吉本町が159平方bなのに対し、山手町が324平方b。実際に土地を購入して敷地に見合った住宅を建設することを想定すると、依然、山手町が高値の住宅地であることは変わらない。
一方、下落率の大きかった住宅地は、山北町や南足柄市など県西部が1〜10位を占めた。10地点とも4・0%以上下落しており、このうち半数の5地点では前年を上回る下落率となった。
商業地では、1平方b当たりの価格順は1〜10位がすべて前年と同じ。1位は横浜駅西口5番街「南幸1ノ12ノ7」の431万円で、変動率がマイナス0・9%(前年マイナス3・8%)。2位も横浜駅西口の「北幸1ノ8ノ4」の267万円で、変動率はマイナス3・3%(同マイナス6・4%)。横浜駅ビルシァルの建て替えに伴い、シァル入居テナントが近傍で代替店舗を探すなど需要は堅調で、価格の下落率が縮小した。
下落率順は、1位が横浜中華街大通りの「山下町154ノ6」のマイナス5・2%(前年マイナス6・7%)。3年前のリーマン・ショック前の”ミニバブル”の調整が続いている様相だが、1平方b当たりの価格は184万円で、県内の価格高順3位を維持している。
下落率2位は「山北字田中1870ノ6」で、前年がマイナス3・9%、今年がマイナス4・5%と下げ幅を拡大。3位の「伊勢佐木町1ノ4ノ6」は松坂屋のはす向かいの地点で、前年6・1%、今年も4・0%下落している。松坂屋の閉店という要因のほか、人気エリアが馬車道〜みなとみらい21方面にシフトしていることも考えられる(基準地別価格順上位の一覧をみみとくに掲載)。