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建通新聞社(静岡)
2011/09/21

【静岡】静岡県 「ふじのくに新エネルギー倍増戦略特区」の内容固まる 9月中に申請へ 

 新エネルギーの導入促進に向け、静岡県が国に申請する「ふじのくに新エネルギー倍増戦略総合特区」の概要が固まった。特区の対象を県内全域とし、導入を促す新エネルギーとして太陽光発電と小水力発電、温泉発電を位置付けるとともに、太陽光の発電量を2009年度比で3倍にするなど目標を設定。それぞれの事業の足かせとなっている規制の緩和や、財政・税制上の支援を求める内容。記載する文言などを固め、9月中に特区申請を行う。年内に国が選定・指定する予定。
 県が設置している「ふじのくに未来のエネルギー推進会議」(会長・荒木信幸静岡理工科大学学長)が16日に開いた会合で、県が特区の概要を示すとともに、大まかな方向について同会議の同意を得た。
 総合特区制度は、先駆的な取り組みで実現性の高い区域に、国と地域が政策資源(予算)を集中。さまざまな特例措置や支援措置を講じ、取り組みを支援する。
 県の構想は、県内全域(温泉発電は伊豆地域に限定)を対象とし、▽新エネルギーの導入促進による、分散自立型のエネルギー体系への転換とエネルギーの地産地消▽県内企業による新エネルギー関連の新技術・新製品の開発支援―を目標とする。
 導入する新エネルギーは、太陽光発電と小水力発電、温泉発電。
 太陽光発電は、民間によるメガソーラー発電などのほか、県が創設した住宅用太陽光発電設備導入への助成制度などにより、09年度に県内全体で9万9400`hだった発電量を30万`hまで拡大する。これに向け、太陽光発電の設置に伴う電気主任技術者の選任要件の緩和を求める。また、固定価格買取制度の開始後に想定される、未利用の倉庫などの屋根を第三者が借りて発電(売電)する際の、電力の建物複数契約を可能にすることなどを特例措置に盛り込む。
 小水力発電については、11年度に着工する国営大井川用水地区のほか、土地改良区などによる用水路への導入を視野に、09年度に9500`hだった導入実績を1万9000`hに引き上げる。ほかの水利利用に従属する小水力発電の許可手続きや、設置に伴うダム水路主任技術者の選任要件の緩和を特区の特例措置に位置付ける。
 伊豆地域への温泉発電では、温泉熱を利用したバイナリ方式により1000`hの発電を目指す。事業を促すため、ボイラータービン主任者の選任要件や温泉発電設備に対する技術要件(いずれも電気事業法)の緩和を求める。また、設備導入に対する国庫補助対象の拡大や、温泉の特定供給事業の設備投資に対する補助制度の創設を特例措置として求める。
 さらに、新エネルギーに関連した新技術・新製品の開発を支援するため、試験研究費の税額控除の拡充や、研究開発に関する設備投資税額控除などの別枠措置を特例措置として掲げている。 
(2011/9/21)
建通新聞社 静岡支社