静岡県建設業審議会(会長・小川雄二郎富士常葉大学非常勤講師)は13日、第4回会合を県庁内で開き、「力強く安全安心な“ふじのくに”づくりに向けて〜静岡県建設産業ビジョン」の案を協議した。建設業の過剰供給構造を「企業間の競争激化と、経営状況や雇用環境の悪化を引き起こす要因」と明確に位置付けた上で、是正方策として、保険未加入業者など不良不適格業者の排除や、建設関連分野・新分野への進出を打ち出した。
県は、今回の審議内容を盛り込んでビジョン案をまとめ、9月下旬に県民意見の反映手続きを開始。これを踏まえて同審議会がビジョンを取りまとめ、11月上旬に川勝平太知事に答申する。
ビジョン案では、建設産業の活性化に向けた方策を、@過剰供給構造の是正A建設産業の再生B入札・契約制度の改善C災害時対応力の向上―の四つの観点から提示。
新たに盛り込んだ過剰供給構造の是正では、行政の取り組みとして、新分野などへの進出の支援や、許可更新時の社会保険への加入状況調査と指導、法令に違反する企業の排除などを盛り込んだ。企業には、適正な賃金の支払いや社会保険加入の徹底、新分野への進出などを求める。
建設産業の再生では、建設産業の健全な発展と地域社会との連携を促す施策として、地元建設業の受注機会につながる公共施設の効率的なストックマネジメントを新たに行政の役割と位置付ける一方、建設企業に対し、事業継続計画(BCP)の作成を求める。また、建設関連分野や新分野への進出を視野に、低炭素社会や景観などのニーズへの対応など「新しい軸足」を見付けることを建設企業の取り組みとして掲げた。
「ビジネス経営体」を建設業経営の一つにモデルに
さらに県側が、過剰供給の解消策として、連携や合併などによる建設企業の「ビジネス経営体」を提示。森山誠二交通基盤部長が「農業経営の集約化に取り入れている考えで、ビジネスモデルを示して支援策を検討したい」と述べ、売上高や人員など一定の数値の設定を求めた。
これに対し委員から「売り上げが1億円でも適正な利益を確保している企業がある。経営体を位置付けるための数値を設定すべきではない」「明示すべきは、今後10年間に県が進める公共事業と、それを担うべき業界・企業の方向だ」「一人親方で素晴らしい技術・技能を持った人がいる。技術力とは何か、優れた経営とは何かを盛り込むべき」などの意見が出た。
これを受け、県側は、ビジネス経営体の考えを、ビジョンの項目の一つである「建設業の経営基盤強化」の中に盛り込む方針を示した。具体的な支援策を検討する場合の、モデルとなる一定の規模などを再度検討する。
さらに、委員から「ビジョンに盛り込んだ施策の進捗を管理すべき」「行政と業界がそれぞれ緊張感を持って取り組むため、フォローアップが必要」との提案があり、ビジョン案に進捗管理の体制などを盛り込むことを決めた。
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(2011/9/16)
建通新聞社 静岡支社