建通新聞社
2011/09/14
【大阪】安威川ダム 現計画での建設にGO! 大阪府河川整備委員会が意見まとめる 転流工の発注へ
安威川ダム(茨木市)が現計画で建設に向かう見通しとなった。大阪府河川整備委員会(委員長・堀智晴京都大学防災研究所水資源環境研究センター教授)は13日の委員会で「変更による設計・調整期間などを考えると、現行計画で建設するのが妥当」との委員会の総論をまとめた。これでダム計画の検証作業を完了。府は、「国に検証結果を報告し、次の手続きに進みたい」とした。転流工の発注準備を開始する見通しだ。
委員会は、現計画案(ダム高76.5m)、利水撤退分を考慮した縮小案(ダム高75m)、通称・穴開きダムの流水型案(ダム高72m)の3案について、比較検討を進めてきた。特に、地震に対する堤体損傷のリスクが貯水型ダムで大きいのではないかと考えられていたが、解析の結果、流水型案と大きな差異がないことが分かった。
このほかの項目でも、@設計変更などを含めたコスト面で現計画案が若干優位A実現性は現計画案が優位B応用範囲は現計画案が広いC効果発生までの期間は現計画案が短い−など、現計画案の優位性が明らかになった。また、流水型では正常流量が確保できず、下流の水利用に影響が出る可能性も指摘された。反面、「将来を含めた環境面では流水型が優位」との意見もあった。
堀委員長は、「大半の委員が現計画案を推している」と判断。「ドラスティックな変更を行うに足るだけのメリットがない」として、環境面に配慮することを条件に、「現計画案が妥当」とする委員会の総合評価をまとめた。
発注が見込まれる安威川ダム転流工は、茨木市生保ほかで、トンネル延長548m、仮設進入路工などを行う。工期は23カ月。第2四半期の発注予定だが、まだ発注手続きは開始されていない。