静岡県は、交通基盤部と経営管理部が所管する土木工事と農林土木工事を対象とした「書類簡素化」の試行を開始した。休日・夜間作業届出などの提出にメールを活用したり、建設副産物の搬入・搬出調書の作成を不要とするほか、これまで簡素化できるとしていた内容を周知徹底する。両部が所管する工事の2割程度(約700件)に適用する方針だ。受注者に試行の効果などについてアンケート調査し、この結果を12年度以降の取り組みに反映する。
県が発注する土木工事と農林土木工事の受注者(請負者)が作成・提出する工事書類を簡素化し、発注者の監督・検査と請負者の施工管理業務を効率化することが目的。受注者からの要望が多いことも踏まえ、国土交通省などほかの発注機関が実施している取り組みを参考に県独自で試行する。
その内容は、@提出書類の見直しA電子メールなどの活用による書類提出の簡素化B工事書類作成に関する現行ルールの徹底―の大きく三つ。
提出書類の見直しでは、これまで提出を求めていた登録内容確認書(工事カルテ受領書)を提示で済ますようにするなど、発注者に提出する書類と提示する書類を分ける。
また、測点数が10点以上の出来形管理図(工程能力図とヒストグラム)と品質管理図(同)や、建設副産物の搬入・搬出調書などについては、受注者による書類作成を不要とした。
電子メールの活用は、工事工程月報や休日・夜間作業届、段階確認・立会願を対象とし、発注者と担当監督員に送信する。
現行ルールの徹底では、小規模工事などでの施工計画書(変更施工計画書)の省略規定や、電子データの工事写真の管理基準の省略規定を発注者に徹底。材料検査簿や建設業退職金共済証紙受払簿などの提出すべき書類を明確化する。
対象とする工事は、2011年度に発注・完了する単年度工事。土木事務所や農林事務所が工事を発注する際、書類簡素化を試行する工事を選び、特記仕様書に試行対象であることを明記する。さらに、受注者に対し、書類簡素化による効果の程度や、12年度以降も実施すべきかどうかをアンケート調査し、この結果を検証して12年度以降の取り組みに反映する。
県では、試行を徹底するため、9月末ごろをめどに各発注機関に取り組みの状況を確認。目標とする「2割程度での実施」を着実に進める考えだ。
(2011/9/5)
建通新聞社 静岡支社